SNSや掲示板などで誹謗中傷を受けた場合、警察に相談すれば対応してもらえるのか気になる方もいるでしょう。
誹謗中傷の内容が名誉毀損罪や侮辱罪、脅迫罪などの犯罪に該当する可能性があれば、警察に相談するのも有効な対処法です。
殺害予告を受けているなど緊急性が高い場合は、すぐに110番する必要があります。
ただし、警察はすべての誹謗中傷について捜査してくれるわけではありません。
犯罪に該当しないと判断された場合や民事上のトラブルにとどまる場合は、警察が介入できない可能性があります。
本記事では、誹謗中傷を警察に相談したほうがいいケースや相談先、事前に準備するもの、警察に対応してもらえる内容を解説します。
警察が動いてくれない場合の対処法も紹介するので、誹謗中傷の被害に悩んでいる方は参考にしてください。
・誹謗中傷を警察に相談したほうがいいケースは、身の危険を感じている、犯罪にあたる可能性がある、執拗な嫌がらせやストーカー行為を受けている、仕事や営業に実害が出ている
・誹謗中傷は警察のどこに相談すればいいのかは、緊急性が高い場合は110番、緊急性がない場合は警察相談専用電話「#9110」、最寄りの警察署、サイバー事案に関するオンライン窓口
・誹謗中傷を警察に相談する前に準備するものは、誹謗中傷された投稿のスクリーンショット、投稿のURLやアカウント情報、誹謗中傷によって生じた被害がわかる資料
・誹謗中傷を警察に相談した場合にしてもらえることは、誹謗中傷の内容や被害状況から犯罪に該当する可能性があるか判断してもらえる、被害届や告訴について案内してもらえる、事件性があれば捜査してもらえる
目次
誹謗中傷を警察に相談したほうがいいケース
ネット上で誹謗中傷を受けたからといって、すべての被害について警察が捜査してくれるわけではありません。
警察が対応するのは、基本的に犯罪に該当する可能性がある場合です。
誹謗中傷を警察に相談したほうがいい主なケースを紹介します。
- 殺害予告などで身の危険を感じている
- 名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪にあたる可能性がある
- 執拗な嫌がらせやストーカー行為を受けている
- 虚偽情報によって仕事や営業に実害が出ている
殺害予告などで身の危険を感じている
SNSや掲示板などで殺害予告を受け、実際に危害を加えられる可能性がある場合は、早めに警察へ相談してください。
特に注意したいのは、投稿者に自宅や勤務先、住んでいる地域などの個人情報を知られている場合です。
具体的な個人情報とともに殺害や襲撃を予告されていれば、単なる嫌がらせではなく、実際に危害を加える意図がある可能性も考えられます。
また、最近になって自宅周辺で不審な人物を見かけるようになった、勤務先の近くで待ち伏せされているなど、思い当たる出来事がある場合も注意が必要です。
関連記事:殺害予告は何罪?いたずらやSNS投稿も罪になる?逮捕の可能性を解説
名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪にあたる可能性がある
誹謗中傷が何らかの犯罪にあたる可能性がある場合は、警察へ相談しましょう。
ネット上の誹謗中傷から成立する可能性がある主な犯罪は以下のとおりです。
- 名誉毀損罪:不特定多数が閲覧できる場所で具体的な事実を示し、相手の社会的評価を低下させた場合
- 侮辱罪:具体的な事実を示さず、不特定多数が閲覧できる場所で相手を侮辱した場合
- 脅迫罪:生命や身体、自由、名誉、財産に危害を加える旨を告知して相手を脅した場合
- 信用毀損罪:虚偽の情報を流して、店舗や企業、個人などの経済的な信用を傷つけた場合
- 偽計業務妨害罪:虚偽の情報を流すなどの方法を使い、店舗や企業などの業務を妨害した場合
どの犯罪が成立するかは、投稿内容や公開された範囲、被害状況などによって異なります。
自分では単なる悪口なのか犯罪にあたる誹謗中傷なのか判断できない場合もあるでしょう。
身の危険が迫っているなどの緊急性がなければ、110番ではなく警察相談専用電話の#9110や最寄りの警察署などへ相談してください。
投稿内容や証拠を確認してもらい、犯罪に該当する可能性があるか判断してもらうとよいでしょう。
関連記事:名誉毀損で刑事告訴する条件や流れ、不起訴になるケースを解説
執拗な嫌がらせやストーカー行為を受けている
その場の言い合いや一時的なトラブルから誹謗中傷につながっただけであれば、警察への相談が必要ない場合もあります。
特に注意したいのは、誹謗中傷に加えて、SNSで何度もメッセージを送ってくる、自宅や勤務先の周辺をうろつく、待ち伏せするといったストーカー行為を受けている場合です。
ストーカー行為がエスカレートすると、ネット上の嫌がらせだけでは済まず、暴行や傷害などの重大な被害に発展するおそれがあります。
実際に、ネット上での嫌がらせから現実の世界で被害者が襲われる事件も発生しています。
執拗な誹謗中傷やストーカー行為を受けている場合は、被害が深刻になる前に警察へ相談し、どのような対応をしてもらえるのか確認しておきましょう。
虚偽情報によって仕事や営業に実害が出ている
ネット上に虚偽の情報を投稿され、仕事や営業に実害が出ている場合も警察への相談を検討しましょう。
虚偽の情報によって経済的な信用を低下させた場合は信用毀損罪、業務を妨害した場合は偽計業務妨害罪などに該当する可能性があります。
警察に動いてもらうためには、誹謗中傷によってどのような被害が生じたのかを具体的に示すのが重要です。
誹謗中傷と実際の被害とのつながりを確認できれば、警察も事件性を判断しやすくなります。
相談する際は問題の投稿だけでなく、キャンセルや売上減少、取引停止などを確認できる資料も一緒に提出しましょう。
関連記事:デマの拡散は罪になる?違法になるケースと対処法をわかりやすく解説
誹謗中傷は警察のどこに相談すればいいのか
誹謗中傷を警察に相談する方法はいくつかあり、被害の緊急性や相談したい内容によって適切な窓口が異なります。
誹謗中傷の被害に遭った際に利用できる警察の相談先を紹介します。
- 緊急性が高い場合は110番する
- 緊急性がない場合は警察相談専用電話「#9110」に相談する
- 最寄りの警察署に相談する
- サイバー事案に関するオンライン窓口から相談する
緊急性が高い場合は110番する
自宅や勤務先などの個人情報を特定されたうえで、現実に危害を加えられる可能性がある脅迫を受けた場合は、110番してください。
たとえば、自宅の住所を知られている相手から殺害を予告されたり、勤務先を特定されたうえで危害を加える旨のメッセージが届いたりした場合です。
具体的な個人情報を把握されている状態で脅迫を受けているのであれば、実際に危害を加えられる可能性も考えなければなりません。
110番する際は、どのような脅迫を受けたのか、相手にどの程度の個人情報を知られているのかなどを具体的に伝えましょう。
投稿やメッセージをすぐに確認できる状態にしておくと、現在の状況を警察へ説明する際にも役立ちます。
緊急性がない場合は警察相談専用電話「#9110」に相談する
身の危険が差し迫っていないものの、誹謗中傷について警察に相談したい場合は、警察相談専用電話「#9110」を利用しましょう。
#9110は、犯罪や事故が発生している緊急時ではなく、警察に相談したい悩みや困りごとがある場合に利用する窓口です。
全国どこからでも電話でき、発信した地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。
SNSに書かれた内容が名誉毀損罪や侮辱罪などにあたる可能性がある、継続的な誹謗中傷を受けていて今後が不安といった場合に相談できます。
相談内容に応じて担当部署や適切な窓口を案内してもらえるため、緊急性はないものの警察に相談すべきか迷っている場合に利用するとよいでしょう。
最寄りの警察署に相談する
電話ではなく対面で被害状況を説明したい場合は、最寄りの警察署に相談する方法もあります。
警察署であれば、誹謗中傷された投稿のスクリーンショットや投稿者とのやり取りなどを実際に見せながら相談できます。
被害の経緯が複雑な場合や、証拠となる資料が多い場合は、対面のほうが状況を詳しく伝えられるでしょう。
また、被害届や告訴を検討している場合も、警察署で相談できます。
相談する際は、問題となっている投稿だけでなく、いつから被害を受けているのか、どのような被害が生じているのかなどを時系列で説明できるようにしておくのがおすすめです。
いきなり警察署へ行くのが不安な場合は、事前に電話して誹謗中傷について相談したい旨を伝え、担当部署や必要な持ち物を確認しておくとスムーズです。
サイバー事案に関するオンライン窓口から相談する
ネット上の誹謗中傷については、警察庁のサイバー事案に関するオンライン窓口から相談する方法もあります。
サイバー事案に関するオンライン窓口は、インターネット上の犯罪やトラブルについて、Web上から都道府県警察へ相談できる窓口です。
SNSや掲示板、口コミサイトなどで受けた誹謗中傷についても相談できます。
#9110との大きな違いは、電話ではなくオンラインで相談内容を送信できることです。
その場で警察の担当者と話す必要がないため、電話が苦手な方や、文章で被害状況をまとめて伝えたい方にも向いています。
相談内容を送信すると、内容に応じて警察から連絡が入る場合があります。
ネット上で発生した誹謗中傷についてオンラインで相談したい場合は、利用を検討してみましょう。
誹謗中傷を警察に相談する前に準備するもの
誹謗中傷について警察に相談する際は、被害状況を確認できる証拠や資料を準備しておきましょう。
投稿内容だけでなく、誰から、いつ、どこで誹謗中傷を受けたのかがわかる資料があれば、警察に状況を説明しやすくなります。
また、仕事への影響など実際に被害が発生している場合は、その被害を確認できる資料も重要です。
警察へ相談する前に準備しておきたいものを紹介します。
- 誹謗中傷された投稿のスクリーンショット
- 投稿のURLやアカウント情報
- 誹謗中傷を受けた日時や経緯がわかる記録
- 投稿者とのやり取りの記録
- 誹謗中傷によって生じた被害がわかる資料
- 本人確認ができる身分証明書
誹謗中傷された投稿のスクリーンショット
警察へ相談する前に、誹謗中傷された投稿のスクリーンショットを保存しておきましょう。
SNSや掲示板の投稿は、投稿者本人が削除したり、運営側によって非公開になったりする可能性があります。
警察へ相談する時点ですでに投稿が消えていると、どのような誹謗中傷を受けたのか確認してもらうのが難しくなるでしょう。
スクリーンショットを撮影する際は、誹謗中傷された文章だけを切り取るのではなく、その投稿に至るまでの経緯や前後のやり取りも残しておくのが重要です。
前後の文脈まで確認できれば、なぜその投稿が問題なのか、どのような状況で誹謗中傷を受けたのかを警察へ説明する際にも役立ちます。
投稿のURLやアカウント情報
スクリーンショットだけでなく、誹謗中傷が投稿されたページのURLも保存しておきましょう。
URLがあれば、どのWebサイトやSNSに投稿されたものなのかを確認でき、警察が実際の投稿を確認する際にも役立ちます。
SNSの場合は、投稿ページだけでなく、投稿者のプロフィールページのURLやユーザー名、アカウントIDなども記録してください。
掲示板などアカウント登録をせずに投稿できるサービスでは、投稿者のアカウント情報が存在しない場合もあります。
その場合は、投稿番号や表示名、投稿者を識別するIDなど、画面上で確認できる情報をできるだけ残しておきましょう。
投稿が削除されたりアカウントが消されたりする可能性もあるため、確認できる情報は早めに保存しておくのが重要です。
誹謗中傷を受けた日時や経緯がわかる記録
誹謗中傷を受けた日時や、被害に至った経緯がわかる記録も準備しておきましょう。
警察へ相談する際は、問題となる投稿だけを見せるよりも、いつから誹謗中傷が始まり、どのような流れで現在の状況に至ったのかを説明できるほうが被害の全体像を伝えられます。
たとえば、最初に投稿された日、その後に投稿が繰り返された日、内容が過激になった時期などを時系列にまとめておくとよいでしょう。
ネット上のトラブルになる前に投稿者と何らかのトラブルがあった場合は、その経緯も記録しておくのがおすすめです。
被害が長期間にわたっている場合は、すべてを口頭で説明するのが難しくなります。
警察へ相談する前に時系列を簡単にまとめておけば、これまでの経緯を正確に伝えられます。
投稿者とのやり取りの記録
問題となっている投稿とは別に、投稿者と個別にやり取りしている場合は、DMやメール、チャットなどの記録も残しておきましょう。
個別のやり取りには、誹謗中傷に至った理由や投稿者との関係性など、被害の経緯を確認するための情報が含まれている可能性があります。
警察が事件性や投稿者について調べる際の手がかりになるかもしれません。
また、SNSなどに公開された投稿はなく、DMやメールだけで誹謗中傷を受けている場合もあります。
その場合は個別のやり取り自体が重要な証拠になるため、削除せずに保存しておきましょう。
誹謗中傷によって生じた被害がわかる資料
誹謗中傷によって仕事や営業などに被害が生じている場合は、その事実を確認できる資料も準備しておきましょう。
特に信用毀損罪や偽計業務妨害罪などが疑われる場合、どのような影響が生じたのかを具体的に示せれば、警察が事件性を判断する材料になります。
ただし、誹謗中傷と被害との関係を示すのは簡単ではありません。
誹謗中傷の投稿後に売上が減少していても、景気や季節、競合店の出店など、ほかの原因によって売上が下がった可能性も考えられます。
そのため、単なる売上データだけでなく、投稿内容を理由とした予約キャンセルの連絡や取引停止の通知など、誹謗中傷が被害につながったとわかる資料があれば一緒に提出しましょう。
本人確認ができる身分証明書
警察署で誹謗中傷について相談する場合は、本人確認ができる身分証明書も持参しておきましょう。
運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど、氏名や住所を確認できるものを用意しておくと安心です。
特に被害届や告訴状を提出する場合は、被害者本人の氏名や住所、連絡先などの情報を確認されます。
相談だけであれば必ず身分証明書の提示を求められるとは限りませんが、そのまま被害届の提出などに進む可能性もあるため、あらかじめ持参しておくとよいでしょう。
誹謗中傷を警察に相談した場合にしてもらえること
誹謗中傷を警察に相談したからといって、すぐに投稿者を特定したり逮捕したりしてもらえるわけではありません。
誹謗中傷を警察に相談した場合にしてもらえる主な対応を紹介します。
- 誹謗中傷の内容や被害状況を確認してもらえる
- 犯罪に該当する可能性があるか判断してもらえる
- 被害届や告訴について案内してもらえる
- 事件性があれば捜査してもらえる
誹謗中傷の内容や被害状況を確認してもらえる
警察に誹謗中傷について相談すると、まずは相談内容を聞き取り、被害状況を確認してもらえます。
具体的には、どのような誹謗中傷を受けたのか、いつから被害が続いているのか、投稿者との関係性はあるのかなどを聞かれます。
また、スクリーンショットや被害に関する資料を持参している場合は、それらの内容も確認してもらえるでしょう。
相談した時点ですぐに犯罪として扱われるわけではありません。
警察が相談内容や提出された資料から状況を把握し、その後の対応が必要か判断していく流れになります。
犯罪に該当する可能性があるか判断してもらえる
警察が対応するのは、基本的に犯罪に該当する刑事事件です。
民事上のトラブルについて、警察が相手との交渉や損害賠償請求などに介入することはできません。
誹謗中傷を受けたからといって、必ず刑事事件になるわけではないため、警察は相談内容や提出された資料を確認し、名誉毀損罪や侮辱罪、脅迫罪などの犯罪に該当する可能性があるかを判断します。
犯罪に該当する可能性があると判断されれば、その後の被害届や告訴、捜査などについて案内を受ける流れです。
一方、刑事事件として扱うのが難しい場合は、警察による捜査ではなく、民事上の手続きが必要になる可能性があります。
相談内容によっては、弁護士などの専門家やほかの相談窓口を案内してもらえる場合もあるでしょう。
関連記事:名誉毀損で訴える条件は?どこから成立するかと具体例、対処法を解説
被害届や告訴について案内してもらえる
誹謗中傷が犯罪に該当する場合は、被害届や告訴について案内してもらえます。
被害届は、犯罪の被害に遭った事実を警察へ申告するためのものです。
一方、告訴は被害を申告するだけでなく、犯人の処罰を求める意思を捜査機関へ伝える手続きになります。
特に名誉毀損罪や侮辱罪は、被害者などからの告訴がなければ起訴できない親告罪です。
そのため、刑事責任を追及したい場合は告訴が必要です。
警察に相談すれば、被害内容に応じて被害届や告訴が必要なのか、今後どのような手続きを進めることになるのかについて説明を受けられます。
事件性があれば捜査してもらえる
相談内容から事件性があると判断されれば、警察による捜査が行われる場合があります。
投稿者が匿名の場合でも、警察は捜査に必要であれば、SNSや掲示板の運営会社、インターネット接続事業者などに対して情報の提供を求め、投稿者の特定を進めます。
投稿者が特定されれば、事情聴取や証拠収集などが行われ、捜査結果を踏まえて検察へ事件が送られる場合もあります。
その後、起訴するか不起訴にするかを判断するのは原則として検察官です。
なお、警察が犯罪捜査のために投稿者を特定する場合、被害者が自費で発信者情報開示請求をする必要はありません。
民事上の発信者情報開示請求とは別の手続きとして、警察が捜査を進めます。
警察に相談しても対応してもらえない場合は弁護士に相談する
警察に誹謗中傷を相談しても、犯罪に該当しないと判断されれば捜査してもらえません。
しかし、刑事上の犯罪が成立しなくても、投稿によって権利を侵害されていれば、削除請求や発信者情報開示請求、損害賠償請求などの民事上の対応を検討できます。
警察に対応してもらえない場合は、誹謗中傷問題を扱っている弁護士への相談を検討しましょう。
誹謗中傷について弁護士に相談・依頼すると、どのような対応を任せられるのか紹介します。
- 弁護士なら民事・刑事の両面から対応を検討できる
- 投稿やコメントの削除請求を任せられる
- 発信者情報開示請求で投稿者の特定を進めてもらえる
- 投稿者に慰謝料などの損害賠償を請求できる
弁護士なら民事・刑事の両面から対応を検討できる
弁護士は民事・刑事の両面から誹謗中傷への対応を検討できるため、どちらに該当するのかわからない段階でも相談できます。
刑事事件として対応できる可能性があれば、告訴状の作成・提出や警察とのやり取りなどをサポートしてもらえます。
弁護士自身が投稿者を捜査するわけではありませんが、被害内容や証拠を整理したうえで、警察への対応を進めてもらえるのがメリットです。
一方、刑事事件として扱うのが難しい場合でも、権利侵害が認められれば民事上の責任を追及できます。
最初から弁護士へ相談する方法はもちろん、警察へ相談したものの刑事事件として対応してもらえなかった場合に、改めて弁護士へ相談するのも選択肢の一つです。
関連記事:SNSの嫌がらせについて弁護士ができること|費用相場と嫌がらせに強い弁護士の選び方
投稿やコメントの削除請求を任せられる
ネット上に誹謗中傷が残っている場合は、弁護士に投稿やコメントの削除請求を依頼できます。
誹謗中傷を放置すると、不特定多数の人に閲覧され続けるだけでなく、ほかのSNSやWebサイトへ転載されて被害が広がる可能性もあります。
そのため、投稿者の処罰や損害賠償を求めるだけでなく、問題となっている情報を削除する対応も重要です。
弁護士に依頼すれば、投稿内容が名誉権やプライバシー権などを侵害していないか確認したうえで、SNSや掲示板の運営会社などに削除を求めてもらえます。
任意の削除依頼に応じてもらえない場合は、裁判所へ削除仮処分を申し立てるなど、法的手続きを検討してもらうことも可能です。
関連記事:5chの書き込みを削除する5つの方法|注意点や削除されない場合の対応
発信者情報開示請求で投稿者の特定を進めてもらえる
匿名のアカウントや掲示板から誹謗中傷を受け、投稿者が誰かわからない場合は、弁護士に発信者情報開示請求を依頼できます。
発信者情報開示請求とは、SNSや掲示板の運営会社、インターネット接続事業者などに対して、投稿者を特定するために必要な情報の開示を求める手続きです。
弁護士に依頼すれば、問題となる投稿が権利侵害にあたるかを確認したうえで、必要な開示手続きを進めてもらえます。
投稿者を特定できれば、その相手に対する損害賠償請求など、次の対応へ進めるようになります。
なお、投稿者を特定するために必要な情報には保存期間があるため、誹謗中傷を受けてから長期間放置するのは避けたほうがよいでしょう。
匿名の投稿者に法的責任を追及したい場合は、早めに弁護士へ相談するのがおすすめです。
関連記事:発信者情報開示請求の進め方|手続きの流れや費用、自分でできるのか解説
投稿者に慰謝料などの損害賠償を請求できる
誹謗中傷によって権利を侵害された場合は、投稿者に対して慰謝料などの損害賠償を請求できる可能性があります。
たとえば、名誉を傷つけられたことによる精神的苦痛に対する慰謝料のほか、投稿者を特定するためにかかった調査費用や弁護士費用の一部などが損害として認められることもあるでしょう。
弁護士に依頼すれば、誹謗中傷の内容や被害状況などから請求できる損害を検討し、投稿者との示談交渉を任せられます。
相手が支払いに応じない場合は、損害賠償請求訴訟を起こして支払いを求めることも可能です。
投稿者が匿名であれば、先に発信者情報開示請求などで相手を特定し、その後に損害賠償請求へ進むのが一般的な流れです。
誹謗中傷を警察に相談する際によくある質問
誹謗中傷を警察に相談する際によくある質問を紹介します。
- ネットの誹謗中傷で警察が動かないのはなぜ?
- 誹謗中傷について無料で相談できる窓口はある?
- 誹謗中傷で訴えられる基準は?
- サイバー警察に誹謗中傷を相談したらどうなる?
- 誹謗中傷ホットラインでは何をしてもらえる?
- 誹謗中傷と悪口の違いは?
ネットの誹謗中傷で警察が動かないのはなぜ?
警察が動かない主な理由は、相談した誹謗中傷が犯罪に該当せず、民事上のトラブルだと判断されるためです。
警察は刑事事件を扱う機関なので、不快な悪口や批判を投稿されただけでは捜査してもらえない場合があります。
また、犯罪に該当する可能性があっても、証拠が不足しており被害状況を確認できなければ、すぐに捜査へ進まないこともあるでしょう。
誹謗中傷について無料で相談できる窓口はある?
警察へ相談したい場合は、警察相談専用電話の#9110や最寄りの警察署を利用できます。
また、違法・有害情報相談センターなど、インターネット上の誹謗中傷について相談できる公的な窓口もあります。
弁護士に相談したい場合は、法テラスの無料法律相談も検討しましょう。
ただし、法テラスの無料法律相談には収入や資産などの利用条件があるため、誰でも無料になるわけではありません。
誹謗中傷問題を扱う法律事務所でも初回無料相談を実施している場合があるため、削除請求や投稿者の特定、損害賠償請求まで検討している場合は利用してみるとよいでしょう。
誹謗中傷で訴えられる基準は?
誹謗中傷で相手を訴えられるかどうかは、投稿によって名誉権やプライバシー権などの権利を侵害されたかが一つの基準です。
たとえば、社会的評価を低下させる内容を不特定多数に公開されたり、本人が公開していない個人情報を無断で掲載されたりした場合は、民事上の責任を追及できる可能性があります。
ただし、不快に感じた投稿であれば必ず訴えられるわけではありません。
投稿内容や公開範囲、権利侵害の程度などによって判断が異なるため、法的措置を検討している場合は弁護士に確認してもらうとよいでしょう。
サイバー警察に誹謗中傷を相談したらどうなる?
サイバー警察と呼ばれる専門部署に誹謗中傷を相談した場合も、まずは投稿内容や被害状況などを確認し、犯罪に該当する可能性があるか判断されます。
名誉毀損罪や脅迫罪などの犯罪に該当する可能性があり、捜査が必要だと判断されれば、投稿者を特定するための捜査などが進められます。
誹謗中傷ホットラインでは何をしてもらえる?
誹謗中傷ホットラインは、インターネット上の誹謗中傷について、掲載されているサイトやSNSの運営事業者へ削除などの対応を促す通知を行う窓口です。
相談者から連絡を受けたあと、一定の基準に基づいて内容を確認し、対象となる場合はサイトやSNSの運営事業者へ対応を促します。
ただし、誹謗中傷ホットライン自体が投稿を強制的に削除したり、投稿者を特定したりするわけではありません。
また、投稿者への損害賠償請求なども対応範囲外です。
誹謗中傷と悪口の違いは?
誹謗中傷と悪口に、法律上の明確な線引きがあるわけではありません。
どちらも法律で定義された犯罪名ではなく、実際には発言や投稿の内容から名誉毀損罪や侮辱罪などに該当するかを判断します。
一般的に悪口は、相手を不快にさせる否定的な発言などを指す言葉です。
一方、誹謗中傷は根拠のない情報で相手を傷つけたり、社会的評価を低下させたりする行為などを指して使われています。
そのため、単なる悪口でも内容や公開された状況によっては犯罪に該当する可能性があります。
まとめ
ネット上の誹謗中傷が名誉毀損罪や侮辱罪、脅迫罪などの犯罪に該当する可能性がある場合は、警察へ相談しましょう。
特に、個人情報を特定されたうえで現実味のある殺害予告を受けているなど、身の危険が迫っている場合は110番してください。
緊急性がない場合は、#9110や最寄りの警察署、サイバー事案に関するオンライン窓口などに相談しましょう。
ただし、警察が扱うのは基本的に刑事事件です。
誹謗中傷が犯罪に該当せず、民事上のトラブルにとどまる場合は、警察による捜査の対象にはなりません。
警察に対応してもらえない場合でも、削除請求や発信者情報開示請求、損害賠償請求などを進められる可能性があります。
誹謗中傷への法的措置を検討している場合は、インターネット上のトラブルに詳しい弁護士へ相談してみましょう。