
X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどのSNSでは、気軽に投稿やコメントができる一方で、相手を傷つける投稿が原因となり、侮辱罪に問われるケースがあります。
匿名だから大丈夫と考えている方も少なくありません。
しかし、投稿内容によっては侮辱罪が成立し、刑事罰の対象となります。
本記事では、SNSにおける侮辱罪の成立要件や、ほかの犯罪との違い、侮辱罪が成立するまでの流れ、罰則や慰謝料の相場についてわかりやすく解説します。
・侮辱罪が成立する要件は、公然(不特定または多数の人が認識できる状態)と人を侮辱した場合(刑法第231条)
・SNSで侮辱罪になるまでの流れは、SNSで侮辱する投稿が行われる、被害者が発信者情報開示請求などの手続きを進める、プロバイダから意見照会書が届く、意見照会書に回答する、発信者情報を開示するか判断される、加害者が特定される、示談・刑事告訴・民事訴訟などに発展する
・SNSで侮辱罪が成立した場合の罰則は、1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料
目次
SNSの侮辱罪とは?
SNSでは、軽い気持ちで投稿した内容が侮辱罪に該当し、刑事責任を問われるケースがあります。
匿名アカウントであっても、発信者情報開示請求などの手続きを通じて投稿者が特定される可能性があるため、身元はバレないとは限りません。
また、侮辱罪は名誉毀損罪や脅迫罪などと混同されることも多く、それぞれ成立する要件や罰則は異なります。
侮辱罪が成立する要件について解説します。
侮辱罪が成立する要件
侮辱罪とは、公然と人を侮辱した場合に成立する犯罪です(刑法第231条)。
ここでいう「公然」とは、不特定または多数の人が認識できる状態をいいます。
例えば、誰でも閲覧できるX(旧Twitter)の投稿やリプライ、公開設定のInstagramへの投稿、インターネット掲示板への書き込みなどは、公然性が認められる可能性があります。
侮辱罪は、相手の社会的評価を低下させるような侮辱的な表現を用いることが要件です。
「バカ」「クズ」「無能」など、相手を見下したり人格を否定したりする表現が該当する可能性があります。
なお、侮辱罪は名誉毀損罪とは異なり、具体的な事実を示す必要はありません。
侮辱罪とほかの犯罪・権利侵害との違い
SNS上の投稿は、内容によって侮辱罪だけでなく、名誉毀損罪や脅迫罪などに該当する場合があります。
そのため、投稿内容がどのような法的責任につながるのかを判断するには、それぞれの違いを理解しておくことが重要です。
侮辱罪とほかの犯罪・権利侵害との違いについて解説します。
- 名誉毀損罪との違い
- 脅迫罪との違い
- 信用毀損罪・業務妨害罪との違い
- 誹謗中傷との違い
名誉毀損罪との違い
侮辱罪と名誉毀損罪の大きな違いは、具体的な事実を示したかどうかです。
名誉毀損罪は、公然と具体的な事実を示し、人の社会的評価を低下させた場合に成立する犯罪です。
例えば、「〇〇は会社のお金を横領している」「〇〇は不倫をしている」など、真偽を問わず具体的な事実を示して社会的評価を低下させる投稿は、名誉毀損罪になる可能性があります。
つまり、事実を示さずに人格を攻撃した場合は侮辱罪、具体的な事実を示して社会的評価を低下させた場合は名誉毀損罪と考えると違いを理解しやすいでしょう。
関連記事:名誉毀損で刑事告訴する条件や流れ、不起訴になるケースを解説
脅迫罪との違い
侮辱罪と脅迫罪の大きな違いは、相手を怖がらせる内容かどうかです。
脅迫罪は、生命や身体、自由、名誉、財産に害を加えることを告げ、相手を脅した場合に成立する犯罪です。
例えば、「殺してやる」「家に火を付ける」「家族に危害を加える」などの投稿は、脅迫罪に該当する可能性があります。
一方で、相手を見下したり人格を否定したりする投稿は、脅迫罪ではなく侮辱罪が問題となる可能性があります。
つまり、人格を攻撃する投稿は侮辱罪、危害を加えることを告げて相手を脅す投稿は脅迫罪と考えると違いを理解しやすいでしょう。
関連記事:殺害予告は何罪?いたずらやSNS投稿も罪になる?逮捕の可能性を解説
信用毀損罪・業務妨害罪との違い
侮辱罪と信用毀損罪・業務妨害罪の大きな違いは、相手の人格を攻撃したのか、それとも事業や業務に影響を与えたのかです。
信用毀損罪は、虚偽の情報を流して企業や店舗などの信用を低下させた場合に成立する犯罪です。
また、偽計業務妨害罪や威力業務妨害罪は、うその情報を流したり、威圧的な行為をしたりして、相手の業務を妨害した場合に成立する可能性があります。
つまり、人格を攻撃する投稿は侮辱罪、企業や店舗の信用を傷つけたり業務を妨害したりする投稿は信用毀損罪・業務妨害罪と考えると違いを理解しやすいでしょう。
誹謗中傷との違い
侮辱罪と誹謗中傷の大きな違いは、法律上の犯罪名かどうかです。
誹謗中傷は、相手を傷つけたり社会的評価を下げたりする言動全般を指す言葉であり、法律上の犯罪名ではありません。
一方で、侮辱罪は刑法で定められた犯罪です。そのため、誹謗中傷に当たる投稿であっても、すべてが侮辱罪になるわけではありません。
誹謗中傷は侮辱罪や名誉毀損罪などを含む広い概念であり、侮辱罪はその一部に当たる犯罪と考えると違いを理解しやすいでしょう。
関連記事:誹謗中傷はどこまでセーフ?違法になるラインと事例・対処法を解説
SNSでも侮辱罪は成立するのか
近年では、X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどでの誹謗中傷が社会問題となっており、匿名アカウントによる投稿であっても、発信者情報開示請求などの手続きを経て投稿者が特定されるケースは少なくありません。
ただし、SNS上の投稿であればすべて侮辱罪になるわけではありません。
SNSで侮辱罪になるケースとならないケースを紹介します。
- SNSで侮辱罪になるケース
- SNSで侮辱罪にならないケース
SNSで侮辱罪になるケース
SNSでは、次のようなケースで侮辱罪が成立する可能性があります。
- 実名やアカウント名を挙げて「バカ」「クズ」などと投稿した
- 公開アカウントで人格を否定する投稿をした
- 誰でも見られるコメント欄やリプライで侮辱的な投稿をした
- 氏名を書いていなくても、第三者が誰のことかわかる状態で侮辱した
- 相手を繰り返し侮辱する投稿を続けた
侮辱罪が成立するかどうかは、投稿内容だけでなく、公開範囲や相手を特定できるかどうかなども踏まえて個別に判断されます。
SNSで侮辱罪にならないケース
SNSでは、次のようなケースでは侮辱罪が成立しない可能性があります。
- 不特定または多数の人が見られない場所でやり取りした場合
- 特定の個人に向けた投稿ではない場合
- 侮辱的な表現ではなく、正当な意見や感想を述べた場合
- 社会通念上、人格を否定するほどの表現ではない場合
- 相手を特定できない投稿である場合
侮辱罪に該当しなくても、不法行為として慰謝料を請求されるケースもあるため注意が必要です。
SNSで侮辱罪になるまでの流れ
SNSで侮辱的な投稿をした場合、すぐに刑事事件になるわけではありません。
SNSで侮辱罪になるまでの一般的な流れを解説します。
- SNSで侮辱する投稿が行われる
- 被害者が発信者情報開示請求などの手続きを進める
- プロバイダから意見照会書が届く
- 意見照会書に回答する
- 発信者情報を開示するか判断される
- 加害者が特定される
- 示談・刑事告訴・民事訴訟などに発展する
- 起訴・不起訴が決まる
SNSで侮辱する投稿が行われる
SNSで侮辱罪になるまでの流れは、加害者が相手を侮辱する投稿を行うことから始まります。
ただし、侮辱的な投稿が行われたからといって、必ず刑事事件や民事上のトラブルへ発展するわけではありません。
被害者が特に対応しなければ、そのまま何も起こらずに終わります。
一方で、被害者が投稿者の特定や慰謝料請求、刑事責任の追及などを求めて行動を起こした場合は、発信者情報開示請求などの手続きへ進みます。
被害者が発信者情報開示請求などの手続きを進める
侮辱罪として責任を追及するには、まず投稿者を特定する必要があります。そのために行われるのが、発信者情報開示請求です。
発信者情報開示請求とは、SNS事業者やプロバイダに対して、投稿者の氏名や住所などの発信者情報の開示を求める手続きです。
発信者情報開示請求は自分で行うこともできますが、書類の作成や手続きは専門的な知識が求められるため、弁護士へ依頼したほうがスムーズに進められるでしょう。
なお、相手が匿名ではなく、氏名や住所、勤務先などが判明している場合は、発信者情報開示請求を行わなくても責任を追及できるケースがあります。
関連記事:発信者情報開示請求の進め方|手続きの流れや費用、自分でできるのか解説
プロバイダから意見照会書が届く
発信者情報開示請求が行われると、プロバイダから投稿者へ意見照会書が送付されます。
意見照会書とは、発信者情報を開示することについて、投稿者の意見を確認するための書類です。
開示に同意するか不同意とするか、またその理由などを記載して返送します。
なお、意見照会書が届いた時点で、発信者情報が開示されることが決まったわけではありません。
その後の回答内容などを踏まえて、プロバイダが開示するかどうかを判断します。
意見照会書に回答する
意見照会書が届いたら、記載された期限までに回答します。
回答では、発信者情報の開示に同意するか不同意とするかを選択し、その理由を記載するのが一般的です。
回答書を作成したら、意見照会書に記載された方法に従って返送します。
返送方法は郵送が一般的ですが、プロバイダによってはオンラインで提出できる場合もあります。
期限を過ぎると手続きが進んでしまう可能性があるため、できるだけ早めに対応しましょう。
発信者情報を開示するか判断される
プロバイダは、被害者と投稿者のどちらか一方の味方ではなく、中立的な立場で発信者情報を開示するかどうかを判断します。
そのため、被害者からの請求内容だけでなく、意見照会書に記載された投稿者の回答内容も確認します。
そのうえで、投稿内容や被害の程度、法的な要件などを総合的に検討し、発信者情報を開示するかどうかを決定するのが一般的です。
投稿によって権利侵害が認められる可能性が高いと判断された場合は、投稿者の氏名や住所などの発信者情報が開示されます。
一方で、権利侵害に当たるとはいえないと判断された場合は、発信者情報は開示されません。
関連記事:爆サイで発信者情報開示請求を行う流れ|費用や期間、弁護士の選び方まで紹介
加害者が特定される
プロバイダが発信者情報の開示を決定すると、被害者へ投稿者の氏名や住所などの情報が開示されます。
これにより、匿名だった投稿者を特定できるようになります。
投稿者が特定されると、被害者は示談交渉や慰謝料請求、刑事告訴などの手続きを進めることが可能です。
なお、投稿者が特定されたからといって、直ちに刑事罰や損害賠償が確定するわけではありません。
その後の対応によって、事件の進み方は異なります。
示談・刑事告訴・民事訴訟などに発展する
投稿者が特定されると、被害者は状況に応じて次のような対応を取ることができます。
- 示談:投稿の削除や謝罪、慰謝料の支払いなどについて話し合い、裁判をせずに解決を目指します。
- 民事訴訟:裁判所へ訴えを起こし、慰謝料などの損害賠償を請求します。
- 刑事告訴:警察や検察に告訴し、投稿者の刑事責任を追及します。
- 削除請求:投稿が残っている場合は、SNS事業者や投稿者へ削除を求めることも可能です。
どの手続きを選択するかは被害者の判断によります。
起訴・不起訴が決まる
被害者が刑事告訴を行い、警察や検察による捜査が進むと、最終的に起訴するか不起訴にするかが判断されます。
起訴とは、検察官が刑事裁判を起こし、裁判所で有罪・無罪を判断してもらう手続きです。
一方、不起訴になると刑事裁判は行われず、その事件について刑事責任を問われる手続きは終了します。
SNSで侮辱罪が成立した場合の罰則
侮辱罪が成立した場合は、法定刑に基づく刑事罰が科されます。
侮辱罪の法定刑や前科との関係について解説します。
- 侮辱罪の法定刑
- 前科が付く可能性がある
侮辱罪の法定刑
侮辱罪の法定刑は、1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。
2022年6月13日に施行された改正刑法により、従来の「拘留または科料」から法定刑が引き上げられました。
そのため、現在は悪質な侮辱行為に対して、より重い刑事罰が科されるでしょう。
実際にどの刑罰が科されるかは、投稿内容や悪質性、被害の程度、示談の有無などを踏まえ、裁判所が個別に判断します。
前科が付く可能性がある
前科とは、有罪判決を受けて刑罰が確定した記録のことです。
そのため、侮辱罪で有罪判決を受けると前科が付きます。
前科が付くと、就職や資格取得、海外渡航などに影響が及ぶ場合があるほか、再び犯罪を犯した際には量刑の判断で不利に考慮される可能性があります。
一方で、不起訴となった場合や無罪判決が確定した場合は、前科は付きません。
SNSの侮辱で慰謝料を請求できる?
SNSで侮辱的な投稿をされた場合は、投稿内容や被害の程度、権利侵害の有無などを踏まえ、慰謝料を請求できるかどうかが判断されます。
慰謝料を請求できるケースや相場について解説します。
- 慰謝料を請求できるケース
- 慰謝料の相場
慰謝料を請求できるケース
一般的には、人格権や名誉感情などの権利・法律上保護される利益が侵害されたと認められる場合に、慰謝料を請求できます。
例えば、次のようなケースです。
- 実名やアカウント名を挙げて侮辱的な投稿をされた場合
- 繰り返し侮辱的な投稿をされ、精神的苦痛を受けた場合
- 投稿が拡散されるなどして被害が大きくなった場合
- 投稿によって社会的評価が低下するなどの被害が生じた場合
自分のケースが当てはまるか判断できない場合は、一人で悩まず弁護士へ相談することをおすすめします。
無料相談を実施している法律事務所もあるため、慰謝料を請求できる可能性があるか確認してみるとよいでしょう。
慰謝料の相場
SNSで侮辱された場合の慰謝料は、9,000円~30万円程度が一つの目安です。
ただし、実際の金額は一律ではありません。
投稿内容や拡散状況、投稿期間、精神的苦痛の程度などを踏まえて個別に判断されます。
特に、何度も侮辱的な投稿を繰り返されたケースや、多くの人に拡散されて被害が大きくなったケースでは、慰謝料が高額になるでしょう。
次に実際の判例・事例を紹介します。慰謝料がいくら認められたのかもあわせて解説しますので、金額の目安を知りたい方は参考にしてください。
SNSの侮辱罪に関する判例・事例
ここでは、法務省が公表している「侮辱罪の事例集」をもとに、実際に侮辱罪として処分された事例を紹介します。
SNSやインターネット掲示板への投稿であっても、内容によっては侮辱罪が成立し、罰金や科料が科されるケースがあります。
どのような投稿が問題となったのか、処分内容とあわせて確認しましょう。
| 投稿内容(概要) | 処分内容 |
|---|---|
| インターネット掲示板で実名を挙げ、性的な表現を用いて人格を傷つける内容を投稿した。 | 罰金10万円 |
| SNSで、いじめの加害者として複数人の氏名や家族の氏名を掲載した投稿や、その内容を記載した画像・URLを拡散した。 | 罰金10万円 |
| インターネット掲示板で実名を挙げ、「犯罪者」「最低最悪」などの侮辱的な表現を繰り返し投稿した。 | 罰金30万円 |
| SNSで、特定の個人に対し侮辱的なハッシュタグや表現を3回にわたり投稿した。 | 罰金10万円 |
| インターネット掲示板で、自治体職員を名指しし、侮辱的な言葉を8回にわたり投稿した。 | 罰金10万円 |
| SNSで、勤務先と役職を挙げたうえで、相手を見下すような表現を投稿した。 | 罰金10万円 |
| SNSで、実名を挙げて「詐欺の実行役」などと投稿した。 | 罰金10万円 |
| インターネット掲示板で、勤務先を示したうえで容姿を中傷し、「気持ち悪い」「頭がおかしい」といった趣旨の投稿をした。 | 罰金5万円 |
| インターネット掲示板の会社紹介ページで、社長に対し「金に汚い」「客を金としか見ていない」と投稿した。 | 科料9,000円 |
侮辱罪が成立するかどうかは、投稿内容だけでなく、公開範囲や表現方法、投稿回数なども踏まえて個別に判断されます。
一方で、実際の事例を見ると、SNSやインターネット掲示板への投稿でも侮辱罪が認められ、罰金や科料が科されているケースは少なくありません。
匿名アカウントであっても責任を問われる可能性があるため、感情に任せた投稿は避けることが大切です。
SNSの侮辱罪を弁護士へ相談するメリット
SNSで侮辱的な投稿をされた場合、被害者と加害者では相談する目的が異なりますが、どちらも早い段階で対応することで、有利に解決できる可能性があります。
被害者と加害者それぞれが弁護士へ相談するメリットを紹介します。
- 被害者が弁護士へ相談するメリット
- 加害者が弁護士へ相談するメリット
被害者が弁護士へ相談するメリット
SNS上の侮辱は、投稿から約3か月でアクセスログが削除されるため、早めに対応することが重要です。
被害者は、証拠を保存したり、権利侵害を主張・立証したりと、多くの手続きを行わなければなりません。
弁護士へ依頼すれば、専門的な知識が必要な手続きを任せられるため、被害回復につながる可能性が高まります。
まずは、被害者が弁護士へ相談する主なメリットを紹介します。
発信者情報開示請求をスムーズに進められる
侮辱罪に発展するケースでは、加害者が匿名で投稿していることも少なくありません。
匿名の場合は、慰謝料請求や刑事告訴などをするためにも、まずは発信者情報開示請求によって相手を特定する必要があります。
発信者情報開示請求は自分で行うこともできますが、証拠の収集や必要書類の作成など、専門的な知識が求められる手続きです。
弁護士へ依頼すれば、証拠の収集から発信者情報開示請求まで一貫して対応してもらえるため、スムーズに手続きを進められます。
アクセスログの保存期間には限りがあるため、早めに相談することが大切です。
刑事告訴や慰謝料請求をサポートしてもらえる
侮辱した相手を特定できたとしても、それだけで刑事罰が科されたり、慰謝料を受け取れたりするわけではありません。
刑事責任を追及する場合は刑事告訴、損害賠償を求める場合は慰謝料請求など、それぞれ手続きが必要です。
弁護士へ依頼すれば、証拠を踏まえて適切な対応方法を提案してもらえるほか、刑事告訴や慰謝料請求の手続きもサポートしてもらえます。
状況に応じた対応を任せられるため、被害回復を目指しやすくなるでしょう。
相手との示談交渉を任せられる
相手を特定したあとは、慰謝料の支払いや今後の対応について示談交渉をするケースもあります。
しかし、被害者自身が加害者と直接やり取りをすると、感情的な対立になったり、不利な条件で示談してしまったりする可能性があります。
また、相手が交渉に応じないことも少なくありません。
弁護士へ依頼すれば、被害者の代理人として示談交渉を進めてもらえます。
法的な根拠に基づいて交渉できるため、適正な内容で解決しやすくなるほか、相手と直接やり取りする精神的な負担も軽減できます。
加害者が弁護士へ相談するメリット
侮辱罪で訴えられる可能性がある場合は、意見照会書が届いた時点で一度弁護士へ相談することをおすすめします。
無料相談を実施している法律事務所も多いため、まずは今後の見通しを確認するとよいでしょう。
発信者情報開示請求は、開示されるだけで終わるケースはあまり多くありません。
開示後は、慰謝料請求や示談交渉、刑事告訴などに発展する可能性があります。
特に、意見照会書が届いたときは安易に判断せず、弁護士へ相談したうえで対応を検討することが大切です。
次に、加害者が弁護士へ相談する主なメリットを紹介します。
早期の示談成立を目指せる
発信者情報が開示されたあと、最も早く解決できる方法の一つが示談です。示談が成立すれば、裁判へ発展せずに解決できる可能性があります。
示談交渉で重要なのは、被害者と加害者の双方が納得できる妥協点を見つけることです。
しかし、慰謝料の金額や示談条件を自分だけで判断するのは簡単ではありません。
相場より高い金額で合意してしまったり、不利な条件を受け入れてしまったりすることもあります。
弁護士へ依頼すれば、過去の裁判例などを踏まえながら、被害者が納得できる内容を提案しつつ、慰謝料などの負担をできるだけ抑えられるよう交渉してもらえます。
また、被害者側にも弁護士が付いているケースでは、専門家同士で交渉した方がスムーズに解決しやすいでしょう。
慰謝料の減額が期待できる
被害者から慰謝料を請求された場合でも、請求された金額をそのまま支払わなければならないとは限りません。
投稿内容や被害の程度によっては、請求額が相場より高いケースもあります。
しかし、自分で適正な金額を判断するのは難しく、相手の主張をそのまま受け入れてしまうことも少なくありません。
弁護士へ依頼すれば、過去の裁判例や示談事例を踏まえて請求内容が妥当かを判断し、必要に応じて慰謝料の減額交渉をしてもらえます。
不当に高額な請求を受けるリスクを減らし、適正な条件で解決しやすくなるでしょう。
相手と対等に交渉できる
発信者情報開示請求は専門的な知識が必要なため、被害者が自分で手続きを進めるケースよりも、弁護士へ依頼するケースの方が多くあります。
そのため、意見照会書や開示請求が届いた時点で、相手側にはすでに弁護士が付いている可能性があります。
このような状況で、加害者本人が相手方の弁護士と交渉するのは簡単ではありません。
法律や裁判例を前提に話が進むため、不利な条件で示談してしまう可能性もあります。
弁護士へ依頼すれば、相手方と法的な根拠に基づいて対等に交渉してもらえます。
交渉を一任できるため精神的な負担も軽減でき、適切な条件で解決を目指しやすくなるでしょう。
SNSの侮辱罪に関するよくある質問
SNSの侮辱罪に関するよくある質問を紹介します。
- 侮辱罪で訴えるには証拠が必要?
- 侮辱罪の慰謝料はいくら?
- 「お前」は侮辱罪になる?
- 侮辱罪は逮捕される?
侮辱罪で訴えるには証拠が必要?
侮辱罪で相手の責任を追及するには、投稿内容がわかる証拠を保存しておくことが重要です。
具体的には、投稿画面のスクリーンショットやURL、投稿日時、アカウント名などを記録しておきましょう。
投稿が削除されると証拠を確保できなくなるため、侮辱的な投稿を見つけたら早めに保存することが大切です。
侮辱罪の慰謝料はいくら?
侮辱罪の慰謝料は、9,000円~30万円程度が目安とされています。
ただし、この金額はあくまで目安です。同じような投稿でも、拡散の有無や投稿回数、被害の大きさなどによって認められる金額は変わります。
また、被害者から30万円を超える慰謝料を請求されるケースもありますが、その金額がそのまま認められるとは限りません。
最終的な金額は、裁判所の判断や当事者間の示談によって決まります。
「お前」は侮辱罪になる?
「お前」という言葉だけでは、侮辱罪にはなりません。
侮辱罪が成立するかどうかを判断するうえで重要なのは、「お前」の後にどのような言葉が続くかです。
例えば、お前は無能だ、お前は社会のゴミだなど、相手の人格を否定したり、社会的評価を低下させたりする表現と組み合わせて投稿した場合は、侮辱罪に該当する可能性があります。
一方で、「お前」という呼び方だけであれば、それだけで違法になることはありません。
侮辱罪は逮捕される?
侮辱罪が成立したからといって、必ず逮捕されるわけではありません。
実際には、在宅事件として捜査が進められるケースも多く、逮捕されずに手続きが進むことの方が多いでしょう。
ただし、証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合や、正当な理由なく警察や検察の呼び出しに応じない場合などは、逮捕される可能性があります。
まとめ
SNSで相手を侮辱する投稿をすると、内容によっては侮辱罪が成立し、刑事罰や慰謝料請求の対象となります。
被害者は、投稿を見つけたら証拠を保存し、必要に応じて発信者情報開示請求や慰謝料請求などを検討しましょう。
加害者側も、意見照会書が届いた時点で弁護士へ相談すれば、その後の対応を適切に進めやすくなります。
侮辱罪に該当するか判断できない場合や、開示請求・慰謝料請求への対応に不安がある場合は、一人で対応せず弁護士へ相談することをおすすめします。
専門家のサポートを受けることで、状況に応じた適切な解決を目指せるでしょう。