誹謗中傷の示談交渉はどう進める?示談金の相場や注意点を解説

誹謗中傷の示談交渉はどう進める?示談金の相場や注意点を解説
誹謗中傷の示談交渉はどう進める?示談金の相場や注意点を解説

インターネットで誹謗中傷を受け、「投稿を消してほしい」「相手に謝罪や賠償を求めたい」と考えている方もいるでしょう。示談交渉では、裁判で判決を得る前に、当事者の話し合いで金銭の支払いや投稿の削除などを取り決めます。ただし、示談金に一律の基準はなく、金額だけで合意すると、再投稿や支払いの遅れといった問題が残るおそれがあります。

この記事では、被害を受けた側に向けて、証拠の保存から示談成立までの流れ、金額を考える際のポイント、示談書に盛り込む条件を解説します。交渉がまとまらない場合の対処法や弁護士費用も確認し、希望する解決に向けて準備を進めましょう。

目次

誹謗中傷の示談交渉の進め方|証拠の保存から示談成立までの流れ

示談交渉は、証拠を確保し、請求する相手と被害の内容を明らかにしてから進めます。削除だけを急がず、投稿者の特定や賠償請求に必要な情報も残しておくことが大切です。

投稿内容・URL・投稿日時をスクリーンショットなどで保存する

まずは、誹謗中傷にあたる投稿を、後から内容が確認できる形で保存しましょう。本文だけを切り抜くと、誰の発言か、いつ公開されたかがわからず、証拠として説明しにくくなる場合があります。投稿者のアカウント名やID、投稿日時、個別の投稿URLも記録してください。前後のやり取りに意味がある場合は、会話の流れも残します。

スクリーンショットに加え、ページのPDF保存や印刷をしておくと整理しやすくなります。削除依頼や相手への連絡より先に、証拠を保存するのが基本です。

  • 投稿本文と画像・動画、個別の投稿URL
  • アカウント名・ID、プロフィールのURL
  • 投稿日時、保存日時、表示回数や共有数
  • 被害者本人への言及とわかる情報、前後の投稿

投稿者がわからない場合は発信者情報開示請求で特定を進める

匿名の投稿で相手がわからない場合は、発信者情報開示請求を検討します。これは、一定の条件を満たす権利侵害について、SNS事業者や通信会社などに、投稿者の特定に必要な情報の開示を求める仕組みです。裁判所を利用する方法には、発信者情報開示命令の申立てなどがあります。ただし、不快な投稿であれば必ず開示されるわけではなく、権利侵害が明らかであることなどの要件が必要です。

通信の記録には保存期間があり、時間がたつと特定に必要な情報が失われるおそれがあります。必要に応じ、記録の消去を防ぐ手続きも検討しなければなりません。また、開示された契約者と実際の投稿者が同じかは別途確認が必要な場合もあるため、推測だけで相手を決めつけないようにしましょう。

被害の内容を整理し、示談金や投稿削除などの希望条件を決める

交渉を始める前に、何を実現したいかを整理します。示談金の受け取り、投稿の削除、謝罪、再投稿の防止など、希望は一つとは限りません。「削除を最優先にする」「金額を下げても分割払いは避ける」といった優先順位まで決めておくと、相手の提案を判断しやすくなります。被害の経過と希望条件を、別々のメモにまとめるとよいでしょう。

金銭を求める場合は、慰謝料、仕事上の損失、投稿者の特定にかかった費用などを分けて整理してください。希望額の理由を説明できれば、単に高額を要求する場合よりも具体的な話し合いにつながります。

投稿者や相手の弁護士に請求内容を伝えて話し合う

相手が特定できたら、対象の投稿、侵害された権利、求める対応を伝えます。書面やメールなど、内容を後から確認できる方法を使うと、認識の食い違いを減らせるでしょう。回答期限は、相手が確認や相談をする時間を考えて設定します。内容証明郵便を使う場合も、送った文面を証明する制度であり、主張が正しいことや支払いを強制できることまで保証するものではありません。

相手に代理人の弁護士がついている場合は、その弁護士を窓口にします。請求への反論があれば、投稿の意味や被害との関係について、証拠をもとに整理し直してください。

合意した条件を示談書にまとめ、入金や投稿の削除を確認する

条件がまとまったら、示談書として記録を残します。口頭でも合意が成立することはありますが、後から約束の内容を証明できず、争いが再び起こるおそれがあります。当事者と対象の投稿を特定し、支払額、期限、削除の範囲などを具体的に記載しましょう。署名などの方法とあわせて、合意した最終版を双方が保管することも重要です。

締結後は、振込明細や投稿画面を確認し、約束が実行されたかを記録します。自分の画面で見えないだけでは、削除されたとは限りません。ログアウトした状態での表示や削除完了の連絡も確認し、未対応の項目があれば、示談書に沿って対応を求めます。

誹謗中傷の示談金の相場は?金額を左右する事情と請求できる費用

示談金を考えるときは、投稿の種類だけでなく、拡散の程度や実際の被害、費用の内訳を確認します。インターネット上の相場情報だけで、自分の事案の受取額を決めつけないことが大切です。

示談金に一律の基準はなく、裁判で認められる慰謝料とも異なる

誹謗中傷の示談金には、法律で定められた一律の金額表はありません。慰謝料は精神的な苦痛を補うお金ですが、示談金は、費用負担や紛争全体の解決を含めて当事者が合意する金額です。そのため、裁判で認められる慰謝料の見込みと、示談でまとまる総額は一致するとは限りません。ネット上で「数十万円」などの目安を見ても、慰謝料だけの数字か、特定費用まで含む数字かを確認しましょう。

たとえば、慰謝料として求める額と特定費用を合算した請求では、総額が高くても、すべてが慰謝料というわけではありません。過去の事例を参考にする際は、同じ権利侵害であるか、投稿数や被害が似ているかまで比較します。

名誉毀損・侮辱・プライバシー侵害など、被害の内容によって金額が変わる

誹謗中傷という言葉は幅広く使われますが、法律上は、侵害された権利や投稿の内容を分けて検討します。社会的な評価を下げる具体的な事実の投稿は名誉毀損、私生活の情報の無断公開はプライバシー侵害が問題になります。具体的な事実を示さない悪口でも、程度によって名誉感情の侵害として民事上の責任が生じる場合があります。ただし、批判や不満の表明が、すべて違法になるわけではありません。

実名がなくても、周囲の人が被害者を特定できる内容なら、請求を検討できることがあります。また、本当のことでも、公開の仕方によってプライバシー侵害などが問題になるため、「事実だから請求できない」とは限りません。投稿の文脈や公開する必要性も含めて判断します。

主な問題 確認するポイント
名誉毀損 社会的な評価が下がる内容か、違法性を否定する事情があるか
名誉感情の侵害 表現の程度や文脈が、社会生活上許される限度を超えるか
プライバシー侵害 私生活上の情報か、公開を望まない情報か、公開の必要性があるか

投稿の悪質さ・回数・拡散の範囲が示談金を左右する

一度の投稿か、長期間にわたる繰り返しかによって、被害の重さは変わります。削除後に別のアカウントから投稿を続けた事情や、本人とわかる情報を添えて攻撃した事情も、交渉で伝えるべき材料です。多くの人に閲覧・共有された場合は、どの程度広がったかを資料で示しましょう。ただし、閲覧数や投稿数に一定の単価を掛ければ、賠償額が決まる仕組みではありません。

投稿後の対応も、示談に向けた話し合いに影響します。速やかな削除や訂正、具体的な再発防止策があれば、解決条件を調整する材料になるでしょう。

精神的な苦痛や仕事・生活への具体的な影響を整理する

被害を説明するときは、つらかったという気持ちとともに、生活にどのような変化があったかを整理します。眠れなくなった、外出が怖くなった、仕事を休んだなど、時期と内容を記録してください。受診した場合は、診療明細や診断書、通院日をまとめておくと説明に役立ちます。診断書がなければ慰謝料を請求できないという意味ではなく、被害を裏づける資料を増やすことが目的です。

仕事上の損失を求める場合は、予約の取り消しや契約の打ち切りなど、金額と投稿との関係を確認します。売上が減ったという事実だけでは、他の原因との区別が難しい場合があります。取引先のメールなど、投稿を理由にした不利益だとわかる資料も保管しましょう。

投稿者の特定費用や弁護士費用をどこまで求められるか確認する

投稿者の特定に必要だった費用は、事案によって損害として請求できる場合があります。示談交渉では、その負担について相手と合意することも可能です。ただし、支払った費用がすべて当然に相手の負担となるわけではなく、必要性や金額の妥当性、投稿との関係が問題になります。複数の投稿者の調査費用を、一人にまとめて求められるとも限りません。

また、裁判で損害として認められる弁護士費用と、自分が弁護士に支払う報酬の全額は別です。裁判所の案内でも、弁護士費用は、印紙代などの「訴訟費用」には含まれないと説明されています。見積書や領収書を整理し、請求できる見込みと自己負担を確認してから金額を提示しましょう。

誹謗中傷の示談交渉で確認すべき条件|投稿の削除・再発防止・示談書の作成

示談では、金額だけでなく、誰が、何を、いつまでに行うかを明確にします。履行の確認方法と、約束が守られなかった場合の対応まで決めることで、後日の争いを減らせます。

示談金の金額・支払期限・支払方法を明確にする

示談金は、総額、振込先、支払期限、振込手数料の負担者を記載します。「なるべく早く支払う」といった表現では、いつから遅れたことになるのかが不明確です。分割払いを認める場合は、各回の金額と期日、残額を一括で求められる条件も検討しましょう。一括払いより未払いのリスクが長く続くため、相手の支払い能力とあわせて判断します。

支払いが遅れた場合の遅延損害金を定める方法もあります。分割払いや高額の支払いでは、強制執行を受け入れる旨を記載した公正証書の利用も選択肢です。ただし、対象となる金銭債務や必要な手続きには条件があり、通常の示談書だけで直ちに差押えができるわけではありません。

削除する投稿のURLと削除期限を具体的に決める

削除の約束は、投稿URL、投稿日時、アカウント名などで対象を特定します。件数が多い場合は、一覧表を示談書の別紙にすると確認しやすくなるでしょう。本文だけでなく、添付画像や動画、プロフィール欄も対象にするかを決めます。削除期限と、完了したことを相手が報告する方法まで記載しておくと安心です。

相手が管理していない転載先については、本人が直接削除できない場合があります。その場合は、管理者への削除申請や、申請した記録の提出など、実行できる協力内容を定めてください。検索結果や第三者の転載が、元の投稿の削除だけで一斉に消えるとは限らない点にも注意が必要です。

謝罪の方法や訂正する内容を決める

謝罪を求める場合は、書面、メール、公開投稿など、方法を明確にします。公開での訂正を求めるときは、掲載する文面、場所、期間についても合意しておきましょう。事実と異なる情報が広まった事案では、単に「申し訳ありません」と述べるだけでは、誤解の解消につながらないことがあります。どの部分が誤りなのかを、必要な範囲で明らかにすることが大切です。

一方で、公開謝罪によって、知らなかった人にまで被害内容が伝わるおそれもあります。被害者の氏名や元の投稿を再掲載する必要があるか、慎重に検討してください。名誉の回復という目的に合う方法を選び、制裁を目的とした過度な要求は避けましょう。

再投稿や第三者を通じた誹謗中傷を防ぐ条件を定める

再発防止の条件には、同じ内容の再投稿に加え、別のアカウントでの投稿や他人に投稿を依頼する行為も検討します。被害者への直接の連絡を控える条件が必要な事案もあるでしょう。ただし、「今後一切、被害者に関する話をしない」といった広すぎる約束は、対象や例外をめぐる争いにつながりかねません。禁止したい行為を、できるだけ具体的に定めます。

対象となる人や情報、使われたサービスなどを踏まえて、実際の再発経路を考えましょう。相手と無関係な第三者の行動まで、相手が必ず防げるわけではありません。第三者への依頼や情報提供など、相手自身が管理できる行為を中心に条件を組み立てます。

口外禁止の範囲と弁護士・警察などへの相談の扱いを確認する

示談した事実や金額を他人に話さない、口外禁止の条件を設ける場合があります。その際は、何を秘密にするのか、SNSでの発信も含むのか、双方が同じ義務を負うのかを確認しましょう。「誰にも話せない」という内容では、必要な支援を受けづらくなるおそれがあります。弁護士への相談、警察や裁判所への説明、医療機関への受診などは、必要な範囲で例外にする方法が考えられます。

法令に基づく開示や権利を守るための手続きとの関係も整理してください。口外禁止と、刑事告訴を取り消す約束は異なるため、一つの条項に曖昧にまとめないことが大切です。

追加請求をしない範囲や約束に違反した場合の対応を示談書に記載する

示談書では、対象の問題についてこれ以上の請求をしない旨を定めることがあり、これを清算条項と呼びます。対象を広く書きすぎると、今回の交渉で扱っていない投稿まで含むかどうかが争いになるおそれがあります。対象の投稿と損害の範囲、支払いとの関係を確認しましょう。示談後の新たな投稿や、示談書の約束違反の扱いも区別しておく必要があります。

違反時の違約金を設ける場合は、対象行為と数え方、金額が妥当かを検討します。違約金を記載すれば、どのような高額でも必ず有効になるわけではありません。また、違約金と実際の損害賠償を重ねて求められるかも、条項の内容に左右されるため、専門家に確認してください。

誹謗中傷の示談交渉における注意点と交渉がまとまらない場合の対処法

被害を受けた側でも、交渉の方法によって新たな問題を生じさせることがあります。証拠と期限を管理しながら、必要に応じて裁判手続きや削除のための手続きを並行して検討しましょう。

相手を脅す言動や個人情報の公開を避ける

相手に怒りを感じても、「払わなければ職場や家族に言いふらす」といった言動は避けてください。正当な請求のつもりでも、手段や内容によって脅迫や恐喝などが問題になるおそれがあります。相手の氏名や住所をSNSに公開することも、新たな権利侵害につながりかねません。請求は、被害の事実と法的な根拠に基づいて、必要な範囲で行います。

訴訟や刑事相談を検討していると冷静に伝えることと、不当な圧力をかけることは区別しなければなりません。連絡を繰り返したり、深夜に電話したりすることも避けましょう。

相手の謝罪や口約束だけで証拠を消さない

相手が謝罪しても、保存した投稿や交渉記録は消さずに保管してください。「明日振り込む」「すぐ削除する」と言っていても、実際には対応されないことがあります。合意後に支払いが止まった場合や、別のアカウントで投稿された場合にも、元の証拠が役立ちます。示談書、振込明細、削除の確認画面を一緒に管理しましょう。

相手から証拠の破棄を求められた場合は、その必要性と影響を確認します。公開投稿を削除することと、被害者が非公開で証拠を持つことは別の問題です。個人情報を含む資料は安全に保管し、交渉と関係のない人にむやみに共有しないようにしてください。

示談交渉中も損害賠償請求の時効や刑事告訴の期限に注意する

不法行為に基づく損害賠償請求権は、原則として、損害と加害者を知った時から3年、または不法行為の時から20年で時効にかかります。生命・身体の侵害については別の規定があり、具体的な起算点も事案によって確認が必要です。単に話し合いを続けているだけで、時効が当然に止まるわけではありません。期限が近い場合は、訴訟などの手続きや、協議を行う旨の書面による合意など、法律上の対応を検討します。

名誉毀損罪や侮辱罪は親告罪で、告訴は原則として犯人を知った日から6か月以内に行う必要があります。これとは別に、公訴時効の確認も必要です。民事の時効と刑事告訴の期限は別々に管理し、示談の回答待ちで期限を過ぎないようにしましょう。

刑事告訴の取下げを約束する場合は、その影響を確認する

示談条件として、刑事告訴の取下げ、法律上の「取消し」を求められる場合があります。告訴は起訴される前まで取り消せますが、一度取り消すと、同じ事件について再び告訴することはできません。相手が約束を破ったからといって、元の告訴を簡単にやり直せるわけではない点が重要です。支払いや削除と、取消しの時期をどう組み合わせるかは慎重に判断します。

また、被害届の取下げと告訴の取消しは同じではありません。犯罪の種類や手続きの段階によって影響が異なり、示談しただけで捜査や処分が必ずなくなるとも限りません。刑事手続きに関する条項を受け入れる前に、弁護士や捜査機関に確認しましょう。

交渉が進まない場合は民事調停や損害賠償請求訴訟を検討する

相手が返答しない、責任を認めない、金額の隔たりが大きいといった場合は、裁判所を利用する方法があります。民事調停は、裁判官や調停委員の関与のもとで、話し合いによる解決を目指す手続きです。ただし、原則として合意が必要であり、相手が応じなければ必ず解決するとは限りません。合意が成立して調停調書に記載されれば、その内容に基づく強制執行が可能になる場合があります。

責任の有無や金額について裁判所の判断を求めるなら、損害賠償請求訴訟を検討します。訴訟では、投稿が違法であることや損害との関係を、証拠で示さなければなりません。見込まれる回収額、相手の資力、かかる時間や費用を比較して、次の手続きを選びましょう。

投稿の削除を急ぐ場合はサイトへの削除依頼や仮処分を検討する

被害が広がっているときは、示談成立を待たずに、サイトやSNSの窓口へ削除を依頼する方法があります。対象のURLと問題となる部分を示し、利用規約違反や権利侵害の理由を具体的に説明しましょう。削除依頼をしても、運営者の判断によっては対応されない場合があります。その場合は、裁判所に削除の仮処分を申し立てることなどを検討します。

仮処分では、守るべき権利と、急いで対応する必要があることを資料で示す必要があります。担保金の準備が必要になる場合もあるため、費用も含めて確認してください。削除と投稿者の特定を両方進めたいときは、証拠や通信記録の確保との順序について、早めに弁護士へ相談するとよいでしょう。

誹謗中傷の示談交渉を弁護士に依頼するメリットと費用

弁護士には、請求の見通しを確認し、交渉や書面作成を任せられます。依頼する場合は、どこまでの手続きが含まれ、最終的にいくら負担するのかを契約前に確認しましょう。

投稿が権利侵害にあたるか、請求額が適切か判断してもらえる

弁護士は、投稿の表現や文脈、被害者を特定できるかなどを踏まえて、権利侵害の有無を検討します。自分では明らかな誹謗中傷だと感じても、法律上は正当な批判との区別が必要な場合があります。反対に、実名がない投稿でも請求を検討できる場合があるでしょう。相手から予想される反論まで確認できれば、交渉の準備が進みます。

請求額についても、似た裁判例と事情の違いを整理し、現実的な見通しを聞けます。高い金額を提示すること自体を目的にせず、削除や再発防止を含めて方針を決められる点が利点です。

投稿者の特定から削除請求・示談交渉までまとめて任せられる

匿名投稿への対応では、特定、削除、賠償請求がそれぞれ別の手続きになる場合があります。弁護士に依頼すると、記録が失われる危険や被害の広がりを踏まえ、進める順序を検討してもらえます。開示を求める事業者が複数になる場合も、必要な対応を整理しやすくなるでしょう。ただし、依頼すれば必ず投稿者を特定できる、削除できるという保証はありません。

相談先を選ぶ際は、利用しているSNSや掲示板での対応経験を確認すると参考になります。また、特定だけを依頼する契約では、その後の示談交渉が含まれないこともあります。自分が任せたい範囲と契約内容が一致しているか、事前に確かめてください。

相手との直接のやり取りを避けて精神的な負担を減らせる

投稿者からの反論や攻撃的な連絡を、自分で受け止め続けることは大きな負担になります。弁護士を窓口にすれば、直接のやり取りを減らし、条件の確認に集中しやすくなるでしょう。相手が強い態度でも、証拠と法律上の問題を整理して対応してもらえます。不要な言い争いや、その場の勢いで不利な約束をする危険を減らすことにもつながります。

ただし、交渉方針の確認や資料の提供など、依頼者の協力は必要です。どの段階で報告を受けるか、連絡方法をどうするかを決めておくと安心できます。

支払いや再発防止を見据えた示談書を作成してもらえる

示談書は、その場の合意だけでなく、約束が守られなかった場合も考えて作成します。弁護士には、削除対象や支払期限の特定、清算条項の範囲、再投稿への対応などを確認してもらえます。相手のひな型が提示された場合も、自分にとって不利な条項がないか検討できるでしょう。特に、告訴の取消しや追加請求をしない約束は、締結前の確認が重要です。

分割払いでは、公正証書の利用など、回収に備える方法も相談できます。ただし、公正証書を作れば、削除や謝罪といったすべての約束をそのまま強制できるわけではありません。金銭の回収と再発防止では必要な対応が異なるため、条件ごとに実効性を確かめます。

相談料・着手金・成功報酬・実費と依頼する手続きの範囲を確認する

弁護士費用は事務所や案件によって異なり、全国一律ではありません。相談料のほか、依頼時の着手金、結果に応じた成功報酬、裁判所への費用などの実費が発生することがあります。開示請求、削除、交渉、訴訟で別々に料金が設定されている場合もあるため、総額の見積もりを求めましょう。消費税や公正証書の作成費用が含まれるかも確認します。

成功報酬については、合意した金額と実際に回収した金額のどちらを基準にするかが重要です。特定できなかった場合や、相手から回収できなかった場合の費用も聞いてください。手元に残る見込み額と、削除・再発防止で得られる効果をあわせて判断することが大切です。

費用の項目 主な確認事項
相談料・着手金 相談時間、依頼する手続き、途中終了時の扱い
成功報酬 成功の条件、計算の基準、回収できない場合の扱い
実費・追加費用 申立費用、郵送費、翻訳費、訴訟へ移る際の追加額

費用負担が難しい場合は法テラスの利用条件を確認する

費用の準備が難しい場合は、法テラスの民事法律扶助を確認しましょう。一定の条件を満たす方は、無料法律相談や、弁護士費用などの立替制度を利用できる場合があります。収入や資産の基準があり、家族人数、住んでいる地域、家賃などによって判断が異なります。費用の立替えでは、解決の見込みや制度の趣旨に合うことなども審査されます。

立替制度は、原則として費用を返済する仕組みであり、すべて無料になる制度ではありません。返済の猶予や免除が認められる場合もありますが、別途条件の確認が必要です。投稿者の特定を含め、希望する手続きが援助の対象となるか、担当窓口や利用予定の弁護士に相談してください。

誹謗中傷の示談交渉は相場と注意点を押さえ、納得できる条件で解決を目指そう

誹謗中傷の示談交渉では、まず投稿や被害の証拠を残し、相手の特定と希望条件の整理を進めましょう。示談金は投稿の悪質さや被害の程度、必要な費用などによって変わるため、一律の相場だけで判断することはできません。

合意する際は、金額に加えて、削除する投稿、履行期限、再発防止、追加請求の範囲まで示談書にまとめることが重要です。交渉中も民事の時効や告訴期限に注意し、判断が難しい場合は弁護士の助言を受けながら、実現できる条件を検討してください。

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