
インターネット上に一度公開された情報は、時間が経っても検索結果に残り続ける場合があります。
過去の逮捕歴や報道、SNS投稿などが原因で、就職や転職、人間関係に影響が出るケースも少なくありません。
このような状況で注目されているのが「忘れられる権利」です。
しかし、日本では忘れられる権利が法律で明確に定められているわけではなく、すべての情報を自由に削除できるわけでもありません。
本記事では、忘れられる権利の意味や認められるケース・認められないケース、実現する方法をわかりやすく解説します。
削除請求を弁護士へ相談するメリットについても紹介するので、過去の情報に悩んでいる方は参考にしてください。
・忘れられる権利とは、インターネット上に残っている過去の個人情報や記事、検索結果などについて、一定の条件を満たした場合に削除を求められるという考え方です。
・忘れられる権利が認められるケースは、公益性が低くなっている、社会復帰の妨げになっている、社会的な関心が薄れている、他のサイトでは削除されているなど
・忘れられる権利が認められるメリットは、過去の情報による不利益を減らせる、就職や転職への悪影響を抑えられる、誹謗中傷や嫌がらせのリスクを軽減できる
・忘れられる権利を認めてもらう方法は、サイト運営者へ削除請求する、Googleなどの検索エンジンへ削除を申し立てる、裁判所へ削除請求を申し立てる、弁護士へ相談する
目次
忘れられる権利とは?
忘れられる権利とは、インターネット上に残っている過去の個人情報や記事、検索結果などについて、一定の条件を満たした場合に削除を求められるという考え方です。
ただし、誰でも自由に情報を削除できる権利ではありません。
個人のプライバシーや更生の利益と、国民の知る権利や表現の自由などを比較し、削除が妥当かどうかを個別に判断します。
まずは、忘れられる権利の考え方や、日本での位置付けについて解説します。
- EUでは個人情報の削除を求める権利が認められている
- 日本では忘れられる権利が法律で明確に定められていない
EUでは個人情報の削除を求める権利が認められている
Uでは、GDPR(一般データ保護規則)第17条で「消去の権利(忘れられる権利)」が定められています。
GDPR第17条では、次のいずれかに該当する場合、本人は個人データの管理者に対して、個人データの削除を求められるとされています。
- 個人データを収集・利用した目的との関係で、保有する必要がなくなった場合
- 本人が個人データの利用に対する同意を撤回し、利用を続ける法的な根拠がない場合
- 本人が個人データの利用に異議を申し立て、利用を続ける優先的な理由がない場合
- 個人データが違法に取り扱われた場合
- EU法または加盟国の法律により、個人データを削除しなければならない場合
- オンラインサービスの提供に関連して個人データが収集された場合
日本では忘れられる権利を明確に定めた法律はありませんが、個人情報の削除を求める際は、EUのGDPRの考え方が参考になります。
参考元:GDPR第17条
日本では忘れられる権利が法律で明確に定められていない
日本では、EUのGDPRのように、忘れられる権利を明確に定めた法律はありません。
そのため、忘れられる権利があるから削除できると一律に判断されるのではなく、個別の事情を踏まえて削除すべきかどうかが判断されます。
一方で、忘れられる権利について判断を示した最高裁判例はあります。
現時点では法律上の権利として明文化されていませんが、今後も判例が積み重なることで、忘れられる権利に関する考え方が重要視されていくでしょう。
忘れられる権利が認められるケース
忘れられる権利は、過去の情報を削除したいと希望すれば、必ず認められるわけではありません。
裁判では、プライバシーを守る必要性と、情報を公開し続ける必要性などを比較したうえで、削除すべきかどうかが判断されます。
忘れられる権利が認められる可能性がある主なケースを紹介します。
- 情報を公開し続ける公益性が低くなっている
- 検索結果が社会復帰の妨げになっている
- 情報が古く社会的な関心が薄れている
- 一般人のプライバシー侵害が大きい
- 他のサイトでは削除されている
情報を公開し続ける公益性が低くなっている
インターネット上にはさまざまな情報が公開されていますが、その多くは社会全体に知らせる必要性がある情報です。
そのため、多くの人が知るべき情報は、削除が認められにくい傾向があります。
一方で、社会的な関心がほとんどなく、公開し続ける必要性が低い情報もあります。
例えば、有名人の離婚は多くの人が関心を持つ話題ですが、一般の人の離婚は社会全体で話題になるケースはほとんどありません。
このように、情報を公開し続ける必要性が低く、削除しても社会への影響が小さい場合は、忘れられる権利が認められる可能性があります。
検索結果が社会復帰の妨げになっている
一度罪を犯した人でも、反省して新たな人生を歩もうと考える人は少なくありません。
しかし、検索結果に逮捕歴や事件に関する記事が表示され続けると、社会復帰の妨げになる場合があります。
採用担当者が応募者の名前を検索し、過去の逮捕歴を知れば、不安を感じて採用を見送るのは自然なことです。
本人は一からやり直したいと考えていても、過去の情報が残り続けることで、新たな生活を始める機会を失ってしまう可能性があります。
このように、検索結果が社会復帰を大きく妨げている場合は、忘れられる権利が認められるでしょう。
情報が古く社会的な関心が薄れている
事件や事故、トラブルに関する情報は、公開された当時は多くの人が関心を持っていても、時間の経過とともに社会的な関心が薄れていきます。
数年前、数十年前の出来事について、現在ではほとんど話題になっていないにもかかわらず、検索結果には情報だけが残り続けているケースも少なくありません。
このように、情報が古くなり社会的な関心が低下している場合は、情報を公開し続ける必要性も低くなるため、削除が認められる可能性があります。
一般人のプライバシー侵害が大きい
一般の人は、政治家や芸能人などのように社会的な影響力が大きい立場ではありません。
そのため、プライバシーがより重視される傾向があります。
氏名や住所、顔写真などの個人情報がインターネット上に公開され続けると、私生活に大きな影響を与える可能性があります。
場合によっては、誹謗中傷や嫌がらせ、ストーカー被害などにつながることもあるでしょう。
このように、情報を公開し続けることでプライバシー侵害が大きくなる場合は、削除が認められる可能性があります。
他のサイトでは削除されている
同じ情報でも、一部のサイトでは削除されている一方で、特定のサイトだけに残り続けている場合は、忘れられる権利が認められるでしょう。
他のサイトで削除されているということは、その情報を公開し続ける必要性が低くなっているということです。
そのため、特定のサイトだけ情報を公開し続ける理由は乏しいと判断されます。
また、一部のサイトだけに情報が残っていることで、検索結果から過去の情報を確認できる状態が続き、本人が不利益を受け続けてしまいます。
忘れられる権利についての判例
忘れられる権利は、日本の法律で明確に定められていません。
そのため、実際に削除が認められるかどうかは、これまでの裁判例が重要な判断材料になります。
忘れられる権利に関する代表的な判例を紹介します。裁判所がどのような事情を重視して判断したのかを見ていきましょう。
- Google検索結果の削除が認められなかった判例
- 逮捕歴が記載されたSNS投稿の削除が認められた判例
Google検索結果の削除が認められなかった判例
この判例は、過去の逮捕歴がGoogleの検索結果に表示されることについて、削除を求めた事例です。
第一審では削除が認められましたが、最高裁では削除請求が認められませんでした。
また、最高裁は「忘れられる権利」という言葉を用いず、プライバシーと検索結果を表示する利益を比較して判断すべきとの考え方を示しています。
【判例の概要】
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【判例の結果】
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この判例は、忘れられる権利を判断する際の重要な基準を示した判例として知られています。
検索結果を削除したいという理由だけでは認められず、プライバシーへの影響や情報を公開し続ける必要性などを比較して判断されることがわかります。
逮捕歴が記載されたSNS投稿の削除が認められた判例
この判例は、逮捕歴が記載されたX(Twitter)の投稿について、削除を求めた事例です。
検索結果の削除が争われた平成29年の最高裁判例とは異なり、本件ではSNS投稿そのものの削除が認められました。
【判例の概要】
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【判例の結果】
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この判例では、時間の経過によって事件の公共性が低下したことや、報道記事がすでに削除されていたことなどが重視されました。
忘れられる権利が認められるかどうかは、逮捕歴があるという事実だけで決まるのではなく、現在も情報を公開し続ける必要があるのかを個別に判断していることがわかります。
忘れられる権利が認められるメリット
忘れられる権利が認められると、インターネット上に残る過去の情報による不利益を減らせます。
特に、過去の逮捕歴や事故、トラブルなどの情報が検索結果やWebサイトに残っていると、仕事や私生活へ影響が及ぶケースも少なくありません。
忘れられる権利が認められることで得られる主なメリットを紹介します。
- 過去の情報による不利益を減らせる
- 就職や転職への悪影響を抑えられる
- 誹謗中傷や嫌がらせのリスクを軽減できる
- プライバシーを保護できる
過去の情報による不利益を減らせる
インターネット上の情報は、一度公開されると長期間残り続ける場合があります。
そのため、何年も前の出来事であっても、名前を検索しただけで過去の情報が表示され、現在の生活へ影響を及ぼすケースも少なくありません。
すでに問題が解決していても、過去の逮捕歴や事故、トラブルに関する記事が検索結果に表示されることで、周囲から誤解を受けたり、人間関係に悪影響が生じたりする場合があります。
忘れられる権利が認められれば、過去の出来事による不利益を受け続ける状況を改善し、新たな生活を送りやすくなることが大きなメリットです。
就職や転職への悪影響を抑えられる
企業が採用活動を行う際は、応募者の氏名をインターネットで検索することもあります。
そのため、検索結果に過去の逮捕歴や事件、トラブルに関する情報が表示されると、採用担当者に不安を与えてしまいます。
もちろん、過去の情報だけで採用の可否が決まるわけではありません。
しかし、他の応募者と比較された際に、不利な印象を持たれてしまうこともあるでしょう。
忘れられる権利が認められ、検索結果や記事が削除されれば、過去の情報によって評価される機会を減らせます。
現在の自分を見てもらいやすくなり、就職や転職への悪影響を抑えられることが大きなメリットです。
誹謗中傷や嫌がらせのリスクを軽減できる
過去の逮捕歴やトラブルに関する情報がインターネット上に残っていると、それをきっかけに誹謗中傷や嫌がらせを受ける可能性があります。
一度情報が拡散されると、SNSや掲示板などで繰り返し話題にされるケースも少なくありません。
また、氏名や勤務先などの情報と結び付けられることで、本人だけでなく家族や勤務先にまで影響が及ぶこともあります。
精神的な負担が大きくなり、普段どおりの生活を送れなくなるケースもあるでしょう。
忘れられる権利が認められて情報が削除されれば、このような情報が拡散されるきっかけを減らせます。
誹謗中傷や嫌がらせのリスクを軽減し、安心して生活しやすくなることもメリットの一つです。
関連記事:誹謗中傷はどこまでセーフ?違法になるラインと事例・対処法を解説
プライバシーを保護できる
氏名や住所、顔写真などの個人情報や、過去の出来事がインターネット上に公開されていると、多くの人が自由に閲覧できる状態になります。
本人は知られたくない情報であっても、一度公開されると簡単には削除されず、長期間残り続けるケースも少なくありません。
忘れられる権利が認められれば、このような個人情報や過去の情報が公開され続ける状況を改善できます。
必要以上にプライバシーが侵害されることを防ぎ、自分の情報をコントロールしやすくなることは大きなメリットです。
また、個人情報がきっかけとなるストーカーや嫌がらせなどのリスクを抑えられる可能性もあり、安心して日常生活を送ることにもつながります。
忘れられる権利が認められるデメリット
忘れられる権利は、過去の情報による不利益を減らし、プライバシーを保護できることがメリットです。
しかし、幅広く認められると、社会全体に影響を及ぼす可能性もあります。
例えば、社会的に重要な情報まで削除されると、国民が必要な情報を得にくくなるでしょう。
また、過去の情報をもとに人物や企業を評価することが難しくなり、正当な批判や議論がしづらくなることも考えられます。
過去の犯罪歴や不祥事などの情報が削除されることで、取引先や採用候補者などを判断するための情報が不足する可能性もあります。
もちろん、更生した人の社会復帰は尊重されるべきですが、情報を残す公益性とのバランスも重要です。
そのため、忘れられる権利が認められるかどうかは、本人のプライバシーだけでなく、知る権利や公共の利益なども考慮したうえで慎重に判断されています。
忘れられる権利を認めてもらう方法
忘れられる権利は、自動的に認められるものではありません。インターネット上の情報を削除したい場合は、状況に応じて適切な手続きを進める必要があります。
忘れられる権利を認めてもらう方法を紹介します。
- サイト運営者へ削除請求する
- Googleなどの検索エンジンへ削除を申し立てる
- 裁判所へ削除請求を申し立てる
- 弁護士へ相談する
サイト運営者へ削除請求する
インターネット上の情報を削除したい場合は、まずサイト運営者へ削除請求しましょう。
削除フォームやお問い合わせフォームが用意されているサイトであれば、そこから申請できます。
削除請求をする際は、削除を求めるURLや問題となる掲載内容に加え、なぜ削除すべきなのかを具体的に伝えることが大切です。
プライバシー侵害や名誉毀損など、削除を求める理由を明確に示したほうが、対応してもらえる可能性が高まります。
ただし、削除請求をしても必ず応じてもらえるわけではありません。
サイト運営者が削除に応じない場合は、検索エンジンへの削除申立てや裁判所での手続きなど、別の方法を検討する必要があります。
関連記事:検索結果の犯罪歴を消したい|削除方法と消せない場合の対処法を紹介
Googleなどの検索エンジンへ削除を申し立てる
検索結果に表示される情報を見えにくくしたい場合は、Googleなどの検索エンジンへ削除を申し立てましょう。
Webサイトの記事が削除されていても、検索結果には一定期間タイトルやURLが表示され続けることがあります。
サイト運営者が削除請求に応じない場合でも、検索エンジンへ削除を申し立てることで、検索結果から非表示になる可能性があります。
ただし、検索結果から削除されても、Webサイトの記事自体が削除されるわけではありません。
元のページが公開されている限り、URLを直接入力したり、別の検索方法を利用したりすれば閲覧できる場合があります。
完全に情報を削除したい場合は、サイト運営者への削除請求もあわせて検討しましょう。
裁判所へ削除請求を申し立てる
サイト運営者や検索エンジンへ削除を求めても対応してもらえない場合は、裁判所へ削除請求を申し立てましょう。
裁判所では、掲載されている情報の内容や公益性、プライバシーへの影響などを踏まえ、削除すべきかどうかを個別に判断します。
忘れられる権利が認められるかどうかも、これらの事情を総合的に考慮して判断されます。
裁判所での手続きは専門的な知識が必要になるだけでなく、解決まで時間がかかるケースも少なくありません。
証拠の準備や書類の作成も必要になるため、自分だけで対応するのが難しい場合は、弁護士へ相談することも検討しましょう。
弁護士へ相談する
削除請求は、法律上の判断が必要になるケースも多く、必ずしも自分だけで対応できるとは限りません。
特に、サイト運営者や検索エンジンが削除に応じない場合は、専門家へ相談したほうがスムーズに解決できます。
弁護士へ相談すれば、忘れられる権利が認められる可能性があるのかを確認したうえで、状況に応じた対応方法を提案してもらえます。
削除請求や裁判所での手続きが必要になった場合も、一貫してサポートを受けられることがメリットです。
削除できるかどうかわからない段階でも相談できるため、一人で判断せず、早めに意見を聞いてみることも大切です。
忘れられる権利について弁護士へ相談するメリット
忘れられる権利について弁護士へ相談する主なメリットを紹介します。
- 削除できる可能性があるか事前に判断してもらえる
- 削除請求の手続きを任せられる
- 法的手続きが必要な場合も対応してもらえる
- 自分で対応するより認められる可能性が高まる
- 削除以外の解決方法も提案してもらえる
削除できる可能性があるか事前に判断してもらえる
インターネット上の情報だからといって、すべて削除できるわけではありません。
情報の内容や公開されている期間、公益性の有無などによって、削除が認められるかどうかは異なります。
そのため、自分では削除できると思っていても、法律上は認められないケースもあります。
反対に、削除は難しいと諦めていた情報でも、判例などを踏まえると削除できる可能性があるかもしれません。
弁護士へ相談すれば、過去の判例や法律をもとに、削除が認められる可能性を事前に判断してもらえます。
見込みがわかったうえで手続きを進められるため、時間や費用を無駄にしにくいこともメリットです。
削除請求の手続きを任せられる
削除請求では、サイト運営者や検索エンジンへ連絡するだけで終わるとは限りません。
削除を求める理由を整理したり、必要な資料を準備したりするなど、状況に応じた対応が求められます。
手続きを進める中で、相手方から反論されたり、追加の説明を求められたりするケースもあります。
慣れていないと、どのように対応すればよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。
弁護士へ依頼すれば、こうした手続きをまとめて任せられます。
自分で何度も相手とやり取りする必要がなくなるため、精神的な負担を抑えながら削除請求を進められます。
法的手続きが必要な場合も対応してもらえる
サイト運営者や検索エンジンとの話し合いで解決できなければ、裁判所で削除を求める手続きへ進む場合があります。
裁判では、申立書や証拠書類を提出するだけでなく、過去の判例や法律を踏まえながら、削除すべき理由を法的に主張しなければなりません。
専門的な知識が必要になるため、自分だけで対応するのは大きな負担になります。
弁護士へ依頼していれば、削除請求だけでなく、裁判所での手続きまで一貫して任せられます。
状況が変わってもその都度対応を考える必要がなく、解決に向けた手続きを安心して進められるでしょう。
自分で対応するより認められる可能性が高まる
削除請求では、削除してほしいと伝えるだけでは認められません。
なぜ削除すべきなのかを、法律や過去の判例を踏まえて説明することが重要です。
情報を公開し続ける公益性はどの程度あるのか、本人が受ける不利益はどれほど大きいのかなど、裁判所や相手方が判断するポイントを意識して主張する必要があります。
弁護士は、これまでの判例や裁判所の判断基準を踏まえて、状況に応じた主張や証拠の整理を行います。
そのため、自分だけで手続きを進めるよりも、削除が認められやすくなるでしょう。
削除以外の解決方法も提案してもらえる
弁護士は、忘れられる権利に関する相談や削除請求を数多く取り扱っています。
そのため、どのようなケースで削除が認められたのか、反対に認められなかったのかといった経験を踏まえながら対応方法を考えます。
削除請求が難しいと判断した場合でも、それで終わりではありません。
検索エンジンへの削除申立てや発信者情報開示請求など、状況に応じて別の解決方法を提案してもらえることがあります。
依頼者の希望を実現するために何ができるのかを一緒に考えながら対応してもらえるため、自分だけでは思いつかなかった解決方法が見つかる可能性もあります。
忘れられる権利に関するよくある質問
忘れられる権利に関するよくある質問を紹介します。
- 忘れられる権利とは簡単にいうと何?
- 忘れられる権利は日本でも認められている?
- 忘れられる権利に反対・賛成する意見は?
- 忘れられる権利はなぜ必要なの?
- 忘れられる権利に関する法律はある?
- 忘れられる権利と知る権利の関係性は?
忘れられる権利とは簡単にいうと何?
忘れられる権利とは、インターネット上に公開されている自分に関する情報について、一定の条件を満たす場合に削除を求められる権利の考え方です。
もともとはEUのGDPR(一般データ保護規則)で定められた「消去の権利(Right to erasure)」がきっかけとなり、世界的に注目されるようになりました。
忘れられる権利は日本でも認められている?
日本では、忘れられる権利を明確に定めた法律はありません。
過去の裁判では、検索結果やSNS投稿の削除が認められたケースがあります。
一方で、削除請求が認められなかった判例もあり、すべてのケースで忘れられる権利が認められるわけではありません。
忘れられる権利に反対・賛成する意見は?
忘れられる権利には、賛成する意見と反対する意見の両方があります。
賛成する人は、過去の情報がインターネット上に残り続けることで、就職や転職、日常生活に大きな不利益が生じるため、一定の場合は削除を認めるべきだと考えています。
更生した人の社会復帰を後押しできるということも、忘れられる権利を支持する理由の一つです。
一方で、反対する人は、知る権利や表現の自由が制限される可能性を懸念しています。
また、過去の犯罪歴や不祥事など、社会的に重要な情報まで削除されると、公共の利益を損なうおそれがあるという意見もあります。
忘れられる権利はなぜ必要なの?
インターネット上に公開された情報は、一度拡散されると長期間残り続けることがあります。
そのため、何年も前の出来事が現在の生活へ影響を及ぼし、就職や転職、人間関係などで不利益を受けるケースも少なくありません。
忘れられる権利は、このような状況から個人のプライバシーを守り、更生した人や新たな生活を始めようとする人が過去の情報だけで評価され続けないようにするために考えられた権利です。
忘れられる権利に関する法律はある?
日本には、「忘れられる権利」という名称の法律はありません。
一方、EUではGDPR(一般データ保護規則)第17条で「消去の権利(忘れられる権利)」が定められています。
一定の条件を満たした場合は、本人が個人データの削除を求めることが可能です。
忘れられる権利と知る権利の関係性は?
知る権利とは、国民が社会に関するさまざまな情報を知る権利です。
国や地方公共団体に関する情報だけでなく、公共性の高い出来事について情報を得られることは、民主主義社会において重要だと考えられています。
この二つの権利は対立する関係性です。
本人は過去の情報を削除したいと考えていても、その情報に高い公益性があれば、知る権利が優先されて削除が認められない場合があります。
反対に、時間の経過によって公益性が低くなり、プライバシーを保護する必要性が高いと判断されれば、削除が認められる可能性があります。
そのため、裁判では忘れられる権利と知る権利のどちらかを一方的に優先するのではなく、それぞれの利益を比較しながら個別の事情に応じて判断しています。
まとめ
忘れられる権利とは、インターネット上に公開されている個人情報や過去の情報について、一定の条件を満たす場合に削除を求める考え方です。
削除請求を進める際は、サイト運営者や検索エンジンへ申し立てる方法がありますが、対応してもらえない場合は裁判所での手続きが必要になることもあります。
削除できる可能性や適切な対応方法がわからない場合は、ネット問題に詳しい弁護士へ相談してみましょう。