X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを利用していると、突然DMで「殺す」「家に行く」「会社に秘密をばらす」などと脅されることがあります。相手が匿名アカウントの場合、「本当に警察に相談してよいのか」「この程度のDMでも犯罪になるのか」と迷う人もいるでしょう。
DMで送られたメッセージであっても、内容によっては刑法上の脅迫罪にあたる可能性があります。また、現時点で犯罪にあたるか判断できなくても、身の危険や不安を感じているのであれば警察へ相談することは可能です。
この記事では、DMで脅迫された場合に警察へ相談する方法や、脅迫罪が成立するための要件、脅迫にあたる可能性がある具体例、被害を受けたときの対処法について解説します。
目次
DMで脅迫された場合は警察に相談できる?
DMで脅迫された場合でも、警察へ相談できます。特に相手が自宅や勤務先を知っている場合や、具体的な日時を示して危害を加えると予告している場合などは、放置せず早めに相談することが重要です。
DMによる脅迫でも警察に相談できる
SNSのDMやチャット、メールなど、インターネット上で送られた言葉であっても、内容によっては脅迫罪などの犯罪にあたる可能性があります。対面や電話で直接脅された場合だけが脅迫罪の対象になるわけではありません。
たとえば、XやInstagramのDMで「殺す」「家族を痛い目に遭わせる」などと送られたケースでは、メッセージの内容や前後の状況によって脅迫罪が成立する可能性があります。
相手が匿名アカウントで、本名や住所がわからない場合でも相談は可能です。アカウント情報やDMの内容、送信日時など、わかる範囲の情報を警察に伝えましょう。
「匿名だから警察に相談しても意味がない」と自己判断する必要はありません。危険を感じているのであれば、まず相談することが大切です。
身の危険が迫っている場合は110番通報する
相手が「今から家に行く」「今日中に殺す」などと伝えている場合や、自宅付近に相手がいる可能性がある場合など、差し迫った危険があるときは110番通報を検討してください。
110番は、事件や事故など緊急の対応が必要な場合に利用するための番号です。単に不快なメッセージが届いたというだけではなく、実際に危害を加えられるおそれがある場合には、できるだけ具体的に状況を説明します。
通報するときは、「SNSのDMで殺すと言われた」「相手が自宅の住所を知っている」「今から家に行くと送られてきた」など、現在置かれている状況を端的に伝えましょう。
また、相手が近くにいる可能性がある場合は、自分から相手を探したり話し合おうとしたりせず、安全な場所へ移動してください。家族や勤務先などに被害が及ぶ可能性があるときは、周囲にも状況を共有しておくとよいでしょう。
緊急性が低い場合は最寄りの警察署や警察相談専用電話「#9110」に相談する
現時点で相手が近くにいるわけではなく、直ちに危害を加えられる可能性までは高くない場合には、最寄りの警察署や警察相談専用電話「#9110」へ相談する方法があります。
#9110は、緊急の対応を必要としない警察への相談を受け付ける窓口です。犯罪にあたるかどうかわからない場合を含め、生活の安全に関する悩みや困りごとについて相談できます。
相談する際には、DMのスクリーンショットだけでなく、相手のアカウント情報やこれまでのやり取りも準備しておくと、状況を説明しやすくなります。
なお、緊急性が高まった場合には相談窓口だけで済ませず、110番へ切り替えることも大切です。危険の程度に応じて相談先を使い分けましょう。
犯罪にあたるかわからない場合でも警察へ相談できる
DMの内容が脅迫罪にあたるかどうかを、被害を受けた本人が正確に判断することは簡単ではありません。「殺す」のように明確な表現だけでなく、前後のやり取りを含めて判断されるケースがあるためです。
そのため、「これくらいでは警察は動いてくれないだろう」と考えて相談を諦める必要はありません。警察相談専用電話などでは、犯罪にあたるかわからない段階でも相談できます。
特に、同じ相手から何度も脅すようなDMが届いている場合や、自宅・勤務先・学校などを知られている場合には注意が必要です。メッセージ単体では判断しにくくても、一連の行為から危険性が高いと考えられるケースもあります。
相談した事実そのものが、その後同じ相手から被害を受けた際の経緯を説明する材料になることもあります。不安を感じた段階で証拠を残し、早めに相談することが重要です。
DMの内容が脅迫罪になるための成立要件
刑法上の脅迫罪は、生命、身体、自由、名誉または財産に害を加える旨を告知して人を脅迫した場合に成立する可能性があります。本人だけでなく、一定の場合には親族への危害を告げる行為も対象になります。
相手や親族の生命に危害を加えると告げている
生命への危害とは、相手やその親族を殺すなど、命に関わる害を加えることを告げる行為です。「殺す」「生きて帰れると思うな」などが典型的な例として考えられます。
ただし、特定の言葉を使えば自動的に脅迫罪になるというものではありません。メッセージが送られた状況や相手との関係、前後の会話なども踏まえて判断されます。
たとえば、トラブルになっている相手から突然「明日殺しに行く」などと送られれば、受け手に恐怖を与える内容と評価される可能性は高くなるでしょう。
一方で、冗談や比喩として使われた表現については、具体的な状況を踏まえた判断が必要です。文章の一部分だけではなく、やり取り全体を見ることが重要になります。
相手や親族の身体に危害を加えると告げている
身体への危害には、殴る、蹴る、けがをさせるなど、相手の身体を傷つける行為が含まれます。「ボコボコにする」「腕を折ってやる」などとDMで告げられたケースが代表例です。
実際に暴力を振るわれていなくても、危害を加える旨を告げた段階で脅迫罪が問題になることがあります。脅迫罪では、告げられた内容が重要になるためです。
また、「お前ではなく家族を痛い目に遭わせる」など、親族の身体への危害を告げられた場合も脅迫罪が成立する可能性があります。
相手が自宅や家族の勤務先、子どもの学校などを知っているケースでは、危険性がより現実的になることがあります。こうした情報を相手が示している場合は、DMと一緒に保存して警察へ伝えましょう。
相手や親族の自由に危害を加えると告げている
脅迫罪でいう「自由」に対する害悪には、監禁する、連れ去るなど、相手の行動の自由を奪うことを告げるケースが考えられます。
たとえば、「捕まえて閉じ込める」「無理やり連れて行く」などと具体的に告げる内容です。言葉だけでは判断できない場合もありますが、相手に恐怖を感じさせる程度の内容であれば脅迫罪が問題になる可能性があります。
また、「家から出られなくしてやる」などの表現についても、前後の事情によっては自由への害悪を告げるものとして問題になることがあります。
DMを受け取った後に相手が待ち伏せをしているなど、実際の行動まで伴っている場合には、脅迫罪以外の犯罪やストーカー規制法上の問題が生じる可能性もあります。身の危険を感じた場合は、速やかに警察へ相談してください。
相手や親族の名誉に危害を加えると告げている
名誉への危害を告げる行為も、脅迫罪の対象になる可能性があります。たとえば、「会社に知られたくない秘密をばらす」「家族に過去を全部話す」などと告げ、相手を怖がらせるケースです。
ここで注意したいのは、単に悪口を言われた場合と、名誉に害を与えることを予告された場合では問題が異なることです。「お前は最低だ」と送られたからといって、それだけで直ちに脅迫罪になるとは限りません。
一方、「言うことを聞かなければ勤務先に秘密をばらす」のように、将来の害を告げられている場合には脅迫罪などが問題になる可能性があります。
さらに、危害を告げることによって金銭の支払いなどを要求された場合は、脅迫罪だけでなく恐喝罪や強要罪など別の犯罪が問題になるケースもあります。要求に応じる前に警察や弁護士へ相談することを検討しましょう。
相手や親族の財産に危害を加えると告げている
財産への危害とは、家や車、所有物などを壊すことを告げる行為です。「車を燃やす」「店を壊してやる」「家をめちゃくちゃにする」などのDMが例として挙げられます。
脅迫罪では、人の生命や身体に直接危害を加える内容だけが対象になるわけではありません。財産に害を加えることを告げた場合でも成立する可能性があります。
特に、相手が実際に自宅や車の場所を知っている場合には、不安が大きくなるでしょう。住所や車の写真などを一緒に送ってきている場合には、その部分も削除せず保存してください。
実際に物を壊された場合には、脅迫だけではなく器物損壊罪など別の犯罪が成立する可能性もあります。被害が発生した場合は、壊された物の写真や防犯カメラ映像なども証拠として確保しましょう。
一般的に相手を怖がらせる程度の内容である
脅迫罪が成立するかどうかは、受け取った本人が実際にどの程度怖がったかだけで決まるものではありません。一般的に見て、人を怖がらせる程度の害悪の告知と評価できるかが重要になります。
そのため、受け取った人が気丈で「特に怖くなかった」と話していたとしても、それだけを理由に脅迫罪が成立しないとは限りません。
反対に、受け取った人が強い恐怖を感じたとしても、すべての攻撃的なメッセージが脅迫罪になるわけではありません。単なる悪口や批判との区別が問題になることがあります。
判断には相手との関係性や過去のトラブル、発言の具体性なども関係するため、DMだけで自己判断せず、必要に応じて警察や弁護士に確認することが大切です。
DMで脅迫罪にあたる可能性がある具体例
DMによる脅迫にはさまざまなパターンがあります。ここでは、脅迫罪が問題になりやすい代表的な内容を紹介します。ただし、実際に犯罪が成立するかどうかは個別の事情によって異なります。
「殺す」「痛い目に遭わせる」などとDMを送られた
「殺す」「命はないと思え」など、生命への危害を明確に告げるDMは、脅迫罪にあたる可能性があります。また、「痛い目に遭わせる」「ただでは済まさない」など、身体への危害を示す内容も問題になります。
特に、相手が自宅や勤務先を知っている場合や、「明日」「帰宅途中」など具体的な日時・場所を示している場合は注意してください。
メッセージを受け取った後、相手が自宅付近をうろついているなど具体的な行動が確認された場合には、危険性がさらに高まります。
緊急の場合は証拠を整理してから相談しようと考える必要はありません。まず安全を確保し、110番通報してください。
「家まで行く」「監禁する」などとDMを送られた
「家まで行く」という言葉だけで必ず脅迫罪になるとは限りません。しかし、「家まで行って痛い目に遭わせる」「連れ去って監禁する」といった内容であれば、身体や自由への危害を告げるものとして問題になる可能性があります。
また、DMとともに自宅の写真や住所、最寄り駅などを送られてきた場合には、単なるネット上の言い争いとして放置するのは危険です。
相手に居場所を知られている場合は、SNSの位置情報や投稿内容から新たな行動範囲を知られないよう、公開情報を見直すことも検討しましょう。
ただし、証拠になる投稿やDMを消してしまわないよう注意が必要です。自分のアカウントを非公開にする場合でも、その前に必要な情報を保存しておきましょう。
「会社や学校に秘密をばらす」などとDMを送られた
「秘密を会社にばらす」「学校に知られたくないことを伝える」など、名誉に危害を加えることを告げて相手を脅す行為も、脅迫罪が成立する可能性があります。
また、「ばらされたくなければ10万円払え」など、脅迫とともに金銭を要求された場合には、恐喝罪などが問題になる可能性があります。
このようなDMを受け取ると、秘密を知られたくない気持ちからすぐに要求に応じたくなることもあるでしょう。しかし、一度支払うことで要求が繰り返されるおそれもあります。
脅迫を受けて金銭や行為を要求されている場合は、相手の要求に応じる前に警察や弁護士へ相談することが重要です。
「家や車を壊す」などとDMを送られた
「家の窓を割る」「車を壊す」「店を燃やす」など、所有する財産への危害を告げるDMも脅迫罪の対象になる可能性があります。
特に、相手が対象となる家や車を特定できる情報を持っている場合には注意が必要です。「お前の車は○○に止めている車だろ」などと書かれていれば、そのメッセージも重要な情報になります。
被害がまだ発生していない段階でも相談できます。実際に壊されるまで待つ必要はありません。
駐車場所や自宅周辺に防犯カメラがある場合には、万一の被害に備えて映像を確認できるようにしておくことも一つの方法です。
家族に危害を加える内容のDMを送られた
「お前の子どもを狙う」「家族を痛い目に遭わせる」など、本人ではなく親族に危害を加えると告げる行為についても、脅迫罪が成立する可能性があります。
本人への危害ではないから犯罪にならないと考えるのは適切ではありません。刑法では、本人だけでなく親族の生命・身体・自由・名誉・財産に害を加えることを告げる行為も脅迫罪の対象とされています。
家族の名前や勤務先、学校など具体的な情報までDMに記載されている場合には、その情報をどのように把握したのかも含めて警察へ伝えましょう。
必要であれば家族にも状況を共有し、一人で行動させないなど安全確保を優先してください。
遠回しな表現でも内容や前後のやり取りから危害を告げていると判断される場合がある
「殺す」といった直接的な言葉が使われていなければ脅迫罪にならないわけではありません。遠回しな表現でも、文脈によって害を加える旨を告げていると判断される可能性があります。
たとえば、激しいトラブルの後に自宅の写真とともに「明日の夜を楽しみにしておけ」などと送られたケースでは、その一文だけで判断することはできません。
そのため、証拠を残すときは問題のメッセージだけを切り取るのではなく、できる限り前後の会話も一緒に保存することが重要です。
警察や弁護士へ相談するときにも、いつからトラブルが起きたのか、過去にどのような発言や行動があったのかを時系列で説明できるようにしておくとよいでしょう。
DMで脅迫された場合に取るべき対処法
DMで脅迫された場合は、感情的に返信するよりも、証拠の確保と安全確保を優先してください。特に、相手をすぐブロックする前に必要な情報を保存しておくことが大切です。
DMを削除せずスクリーンショットなどで証拠を保存する
脅迫するDMが届いたら、まずメッセージを削除せず証拠として保存しましょう。スクリーンショットを撮影するだけでなく、可能であればDMの画面全体がわかるように記録しておきます。
相手があとからメッセージを削除したり、アカウントそのものを消したりする可能性があるため、早い段階で保存しておくことが重要です。
スマートフォンだけに保存するのが不安な場合は、クラウドストレージやパソコンなどにもコピーしておくとよいでしょう。
証拠を保存する目的は、警察や弁護士に相談するときに状況を正確に伝えることです。内容を加工したり、一部を書き換えたりせず、できる限り元の状態がわかる形で保存してください。
相手のアカウント名やID、プロフィール情報を保存する
DM本文だけではなく、相手のアカウント情報も保存しておきます。SNSでは表示名を自由に変更できることがあるため、表示名だけでは相手を確認できなくなる可能性があります。
可能であれば、アカウントID、プロフィール画面、プロフィールURL、自己紹介文、プロフィール画像などをまとめて記録してください。
- アカウントの表示名
- ユーザーIDやユーザー名
- プロフィールページのURL
- プロフィール画像や自己紹介文
- 相手が公開している投稿
相手がアカウントを削除すると確認できなくなる情報もあるため、DMと同じタイミングで保存しておくと安心です。
DMが送られた日時や前後のやり取りも保存する
脅迫にあたるかどうかを判断するうえでは、問題となるメッセージだけでなく、前後のやり取りが重要になる場合があります。
たとえば、「覚えておけ」という一言だけを見ると意味がわかりにくくても、その直前に「住所を知っている」「今から向かう」などのメッセージが送られていれば、受け取られ方は大きく変わります。
そのため、スクリーンショットを撮る場合は一つのDMだけを切り取らず、日時や前後のメッセージが確認できる範囲を残しておきましょう。
警察庁も、インターネット上のトラブルについて、サイトやSNSの名称、URL、書き込み者、書き込み日時、内容などを記録するよう案内しています。「誰が・いつ・どこで・何を送ったのか」を確認できる状態にしておくことがポイントです。
相手に言い返したり直接会ったりすることは避ける
脅迫されたことに腹が立ち、相手に強い言葉で言い返したくなるかもしれません。しかし、やり取りがエスカレートすると、相手の行動がさらに過激になる可能性があります。
また、「直接話をつけよう」と考えて相手に会いに行くことも避けたほうが安全です。ネット上では相手がどのような人物なのかわからないケースも少なくありません。
特に、相手が暴力をほのめかしている場合や、自宅などを把握している場合には、直接接触することには大きな危険があります。
まず証拠を保存したうえで、SNS運営会社への通報、警察への相談、弁護士への相談など第三者を通した対応を検討しましょう。
XやInstagramなどの運営会社に通報する
SNSには、脅迫や嫌がらせなどを運営会社へ報告するための通報機能が用意されていることがあります。証拠を保存した後、利用しているサービスの通報機能を確認しましょう。
規約違反と判断された場合には、投稿の削除やアカウントの利用制限などの措置が行われることがあります。ただし、どのような対応が取られるかはサービスや事案によって異なります。
また、運営会社への通報と警察への相談は別の手続きです。SNS運営会社に通報したからといって、警察にも自動的に情報が伝わるとは限りません。
現実に危害を加えられるおそれがある場合は、SNSへの通報だけで対応を終えず、警察への相談も検討してください。
身の危険を感じる場合は警察に相談する
DMの内容から身の危険を感じた場合は、自分だけで解決しようとせず警察へ相談しましょう。特に、相手が住所や勤務先を知っている、何度も脅迫している、待ち伏せなどの行動をしているケースでは早めの対応が重要です。
相談する際には、保存したDMやアカウント情報、トラブルが始まった経緯などを準備します。過去に相手から電話や訪問などがあった場合には、それらも時系列でまとめておくと状況を説明しやすくなります。
| 状況 | 主な相談方法 |
|---|---|
| 今すぐ危害を受けるおそれがある | 110番通報 |
| 緊急ではないが不安や危険を感じている | 最寄りの警察署・#9110 |
| 犯罪にあたるかわからない | 最寄りの警察署・#9110などで相談 |
「まだ実際には何もされていない」という理由だけで相談をためらう必要はありません。危険が現実になる前に相談することも重要です。
DMで脅迫された場合に弁護士へ相談するメリット
DMによる脅迫では、警察だけでなく弁護士への相談が役立つ場合があります。犯罪の成立可能性だけでなく、相手への警告や損害賠償請求など、状況に応じた対応方法を検討できます。
DMの内容が脅迫罪などにあたる可能性を判断してもらえる
DMの内容が脅迫罪にあたるかどうかは、メッセージの一部分だけでは判断できないケースがあります。どのようなトラブルがあり、相手がどのような意図で発言したのかなども確認する必要があるためです。
弁護士へ相談すれば、保存したDMや前後のやり取りをもとに、脅迫罪などが成立する可能性について法的な観点から助言を受けられます。
また、脅迫とともに金銭を要求されている場合や、名誉を傷つける投稿も行われている場合など、別の法的問題が含まれているケースもあります。
どのような手段で対応するのが適切なのかわからない場合に、選択肢を整理できることが弁護士へ相談するメリットです。
警察へ相談するときに必要な証拠や伝え方について助言を受けられる
警察へ相談したいと思っていても、「何を持って行けばいいのかわからない」という人もいるでしょう。弁護士に相談すると、DMやアカウント情報など、保存しておくべき資料について助言を受けられます。
また、長期間にわたり多数のメッセージが届いているケースでは、すべてをそのまま提示するだけでは経緯が伝わりにくいことがあります。
「○月○日に最初の脅迫があった」「その後、自宅住所を示された」など、出来事を時系列で整理すると事情を説明しやすくなります。
警察へ何を伝えるべきなのか不安な場合には、相談前に弁護士へ確認しておく方法もあります。
必要に応じて相手方への警告や連絡を任せられる
相手の身元がわかっている場合には、弁護士から相手へ連絡し、脅迫行為をやめるよう警告する方法を検討できることがあります。
被害者本人が直接連絡すると、さらに口論になったり、新たな脅迫を受けたりする可能性があります。第三者である弁護士を通して連絡することで、本人同士の直接的なやり取りを避けられます。
ただし、相手への警告が適切かどうかはケースによって異なります。刺激することで危険性が高まるおそれがある場合には、先に警察へ相談すべきケースもあります。
そのため、自分で内容証明郵便を送ったり直接電話したりする前に、状況に応じた方法を専門家と検討するとよいでしょう。
匿名アカウントの場合に投稿者や送信者を特定する方法を相談できる
匿名アカウントから脅迫されている場合、「相手が誰なのか調べたい」と考える人もいるでしょう。インターネット上の権利侵害については、一定の要件を満たす場合に発信者情報の開示に関する手続きを検討できることがあります。
ただし、匿名のDMが届けば必ず相手を特定できるわけではありません。利用したサービスの仕組みや通信方法、保存されている情報、権利侵害の内容などによって利用できる手続きが異なるためです。
さらに、サービス提供者が情報を保存している期間などが問題になるケースもあります。相手を特定したい場合には、長期間放置せず早めに相談することが重要です。
インターネット上の発信者特定を扱っている弁護士であれば、現在残っている証拠を確認したうえで、どのような手続きが考えられるか相談できます。
損害賠償請求などの民事上の対応について相談できる
脅迫によって精神的な被害などを受けた場合には、刑事上の対応とは別に、民事上の損害賠償請求を検討できるケースがあります。
警察が行う刑事手続きは、犯罪が成立するかを捜査し、必要に応じて処罰につなげるためのものです。一方、被害者が相手に損害賠償を求める手続きは民事上の問題になります。
そのため、警察へ相談すれば自動的に慰謝料などを受け取れるわけではありません。損害賠償請求を希望する場合には、別途対応が必要になることがあります。
刑事上の対応と民事上の対応をどのように進めるか迷っている場合には、弁護士へ相談し、目的に応じた手続きを整理してもらうとよいでしょう。
DMで脅迫された場合は警察に相談し、脅迫罪の成立要件を確認して適切に対処しよう
DMで「殺す」「家族に危害を加える」「秘密を会社にばらす」「家や車を壊す」などと告げられた場合には、内容や状況によって脅迫罪が成立する可能性があります。SNS上のDMだからといって、脅迫罪の対象にならないわけではありません。
脅迫を受けたときは、DMを削除せず、スクリーンショットやアカウント情報、送信日時、前後のやり取りなどを保存してください。警察庁も、インターネット上の被害について、サイト名やURL、書き込み者、日時、内容などを記録するよう案内しています。
今まさに危害を受けるおそれがある場合には110番を利用し、緊急性が低い場合には最寄りの警察署や警察相談専用電話「#9110」へ相談できます。犯罪にあたるか判断できない段階でも、相談することは可能です。
また、匿名の相手への対応や損害賠償請求などを検討している場合には、弁護士への相談が役立つことがあります。一人で相手と交渉したり直接会ったりせず、証拠を確保したうえで警察や弁護士などの専門機関を利用しましょう。