デマは、日常のSNS利用の中で誰でも関わり得る問題です。「ただの噂だから大丈夫」と軽く考えて拡散した情報でも、内容や影響次第では刑事罰や損害賠償に発展する可能性があります。
特に近年は、X(旧Twitter)やInstagramなどの普及により、個人の投稿が短時間で広範囲に拡散される環境になりました。
その結果、軽い気持ちでのリツイートやシェアが、他人の名誉や営業に深刻な被害を与えるケースも増えています。
一方で、すべての情報発信が違法になるわけではありません。どのような場合に罪に問われるのか、逆に違法とならないのはどのようなケースなのかを正しく理解することが重要です。
本記事では、デマの拡散が罪になるのかや具体的な罪名、実際の事例を踏まえながら、拡散してしまった場合・された場合の対処法までわかりやすく解説します。
正しい知識を身につけ、トラブルを未然に防ぎましょう。
・デマを拡散すると、名誉毀損、侮辱罪、信用毀損罪・偽計業務妨害罪、不法行為責任(損害賠償)の罪になる可能性がある
・デマの拡散が罪にならないケースは、真実であると合理的に信じた根拠がある場合、公益性があり社会的意義のある発信である場合、意見や論評の範囲にとどまる場合
・デマを拡散されたときの対処法は、証拠を保存する、投稿者に削除や訂正を求める、SNS運営やサイト管理者に削除依頼を行う、発信者情報開示請求を検討する
・デマを拡散してしまったときの対処法は、投稿を削除する、誤情報であるかを把握する、被害者に対して謝罪や訂正を行う、早期に弁護士へ相談する
目次
【結論】デマの拡散は罪になるのか
デマの拡散は、内容や状況によっては違法となり、刑事罰や損害賠償の対象になります。
軽い気持ちで共有した情報であっても、他人の権利や社会的評価を侵害すれば責任を問われるため注意が必要です。どのようなケースで罪に問われるのかを具体的に解説します。
- 状況によっては刑事罰や損害賠償の対象になる
- リツイートやシェアなどの拡散も罪に問われる可能性がある
状況によっては刑事罰や損害賠償の対象になる
デマを拡散したことで他人の名誉や信用が傷ついたり、被害が発生したりすれば、刑法上・民事上のいずれでも違法と判断されます。
たとえば、企業に関する虚偽情報をSNSに投稿し、売上減少や取引停止などの損害が生じた場合は、違法行為です。
実在する人物について根拠のない不正行為を発信すれば、名誉毀損として責任を問われる可能性があります。
違法かどうかは、デマの内容や拡散の影響の大きさによって変わります。ただし、軽い気持ちで発信した情報であっても、重大な責任につながるため、投稿前に慎重に判断することが重要です。
リツイートやシェアなどの拡散も罪に問われる可能性がある
デマの発信者でなくても、リツイートやシェアによって拡散に関与すれば、責任を問われる可能性があります。「自分は投稿していないから問題ない」とは言えません。
実際には、既存の投稿をそのまま共有した場合でも、内容が虚偽であると認識できた状況で拡散すれば、名誉毀損などが成立する余地があります。
拡散によって被害が広がれば、その一部を担ったと評価されるためです。
特に、特定の人物や企業を攻撃する内容や、真偽が不明な情報には注意が必要です。拡散は単なる共有ではなく、自らの発信と同様に扱われます。
安易に拡散せず、一度立ち止まって判断しましょう。
デマを拡散するとどのような罪に問われるのか
デマの拡散は、内容や影響に応じて複数の犯罪に該当する可能性があります。単なる噂の共有であっても、他人の権利や社会的評価を侵害すれば処罰の対象になります。
代表的な罪名とその内容を順に確認していきましょう。
- 名誉毀損罪|刑法230条
- 侮辱罪|刑法231条
- 信用毀損罪・偽計業務妨害罪|刑法233条・234条
- 不法行為責任(損害賠償)|民法709条
名誉毀損罪|刑法230条
名誉毀損罪は、他人の社会的評価を下げる事実を公然と示した場合に成立します。SNS投稿や拡散も「公然」にあたるため、デマの発信や共有でも対象です。
| 罪名 | 名誉毀損罪 |
|---|---|
| 条文 | 刑法230条 |
| 処罰内容 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 具体例 | ・「あの店は食中毒を隠している」と虚偽の投稿をする ・「〇〇は不倫している」と根拠のない情報を拡散する ・「あの会社は違法行為をしている」と事実無根の内容を広める |
名誉毀損罪では、「事実」を示して社会的評価を下げたかどうかが判断基準になります。内容が真実かどうかにかかわらず、評価が低下すれば成立する余地があります。
特にSNSは不特定多数が閲覧できるため、公然性が認められやすいことにも注意が必要です。
公共性や公益性が認められる場合には違法性が否定されることもありますが、判断は厳格に行われます。安易な発信は控えてください。
侮辱罪|刑法231条
侮辱罪は、具体的な事実を示さなくても、他人を公然と侮辱した場合に成立します。名誉毀損罪との違いは、「事実の摘示」があるかどうかです。
単なる悪口や中傷でも、社会的評価を下げる内容であれば処罰の対象になります。
| 罪名 | 侮辱罪 |
|---|---|
| 条文 | 刑法231条 |
| 処罰内容 | 1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料 |
| 具体例 | ・「あいつはバカだ」とSNSで繰り返し投稿する・特定の人物に対して「無能」「クズ」などの表現を拡散する・外見や人格を貶める発言を不特定多数に向けて投稿する |
侮辱罪は、事実を示さなくても成立するため、軽い気持ちの投稿でも違法となるリスクがあります。特にSNSでは、多くの人の目に触れることで「公然性」が認められやすいでしょう。
感情的な投稿や勢いでの発言はトラブルの原因になります。一度投稿すると拡散されやすいため、表現には十分注意してください。
信用毀損罪・偽計業務妨害罪|刑法233条・234条
信用毀損罪や偽計業務妨害罪は、虚偽の情報や不正な手段によって、企業や個人の信用を傷つけたり、業務を妨害したりした場合に成立する犯罪です。
デマの拡散によって営業活動に影響が出た場合、これらの罪に該当する可能性があります。
| 罪名 | 信用毀損罪・偽計業務妨害罪 |
|---|---|
| 条文 | 刑法233条・234条 |
| 処罰内容 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 具体例 | ・「この店は不衛生で危険」と虚偽の情報を拡散する ・「あの会社は倒産寸前だ」と根拠のない噂を広める ・虚偽のクレームを大量に投稿し業務を混乱させる |
これらの罪は、実際に業務が妨害されたかどうかだけでなく、妨害するおそれがある段階でも成立する場合があります。
特に企業に関するデマは、信用低下や営業への影響が大きいため、重く判断されるでしょう。
話題性だけで拡散した場合でも、結果として業務に支障が出れば責任を問われます。企業や店舗に関する情報は慎重に扱ってください。
不法行為責任(損害賠償)|民法709条
デマの拡散によって他人に損害を与えた場合、刑事責任だけでなく、民事上の損害賠償責任も発生します。
違法な行為によって損害を与えた場合は、被害者に対して賠償する義務があります。
| 罪名 | 不法行為責任(損害賠償) |
|---|---|
| 条文 | 民法709条 |
| 処罰内容 | 損害賠償(慰謝料・逸失利益など) |
| 具体例 | ・虚偽の情報を拡散し、店舗の売上が減少した ・根拠のない噂により取引先との契約が打ち切られた ・誹謗中傷によって精神的苦痛を与えた |
民事責任では、実際に生じた損害に応じて賠償額が決まる仕組みです。被害の程度が大きいほど、請求額も高額になる傾向があります。
また、投稿を削除したとしても責任がなくなるわけではありません。一度拡散された情報は完全に消えない場合も多く、被害が継続することもあります。
トラブルを避けるためにも、発信前の確認が重要です。
デマの拡散で実際に罪に問われた事例
デマの拡散は実際に逮捕や損害賠償に発展したケースもあります。軽い気持ちで投稿した内容でも、社会的影響が大きければ厳しく責任を問われます。
デマの拡散で実際に罪に問われた事例を見ていきましょう。
- 熊本地震で「ライオンが放たれた」とデマ投稿し逮捕された事例
- 飲食店に「新型コロナ」と虚偽投稿し逮捕された事例
- 知人の飲食店に虚偽のクレームや低評価を繰り返し逮捕された事例
熊本地震で「ライオンが放たれた」とデマ投稿し逮捕された事例
2016年の熊本地震では、インターネット上で多くのデマが拡散されました。
熊本県警の記録によると、「ライオンが放たれた」「井戸に毒が入れられた」など、真偽不明の情報を含め135件の流言飛語が確認されています。
中でも問題となったのが、「動物園からライオンが放たれた」という虚偽の投稿です。このデマはSNS上で拡散され、被災地の不安や混乱を助長しました。
その結果、熊本市動植物園の業務に支障が生じ、対応を余儀なくされる事態となったのです。
この投稿を行った当時20歳の男性は、偽計業務妨害の疑いで逮捕されています。その後は不起訴(起訴猶予)となりましたが、デマの拡散が刑事事件に発展した代表的な事例です。
災害時は不安が高まり、情報の真偽を十分に確認せずに拡散されやすくなります。しかし、虚偽の情報を広めれば、実際に業務妨害として責任を問われる可能性があります。
非常時こそ、情報の扱いには一層の注意が必要です。
飲食店に「新型コロナ」と虚偽投稿し逮捕された事例
2020年4月、山形県米沢市の飲食店について「新型コロナ」と虚偽の情報を投稿した男が、偽計業務妨害の疑いで逮捕された事例です。
このケースでは、投稿者は店舗側と面識がないにもかかわらず、あたかも感染者がいるかのような内容を発信していました。
その結果、店舗の信用が低下し、営業への影響が生じるおそれがあったそうです。
店舗のオーナーは、投稿後に警察へ相談し、被害届を提出しています。こうした対応を受け、虚偽情報による業務妨害と判断され、刑事事件に発展しました。
感染症に関する情報は社会的影響が大きく、デマの拡散は特に重大な問題です。
根拠のない情報を発信すれば、営業への影響だけでなく刑事責任につながるおそれがあります。情報の真偽を確認せずに投稿する行為は避けてください。
知人の飲食店に虚偽のクレームや低評価を繰り返し逮捕された事例
知人が経営する飲食店の評価を下げる目的で、虚偽のクレームや低評価を繰り返したとして、女性が偽計業務妨害の疑いで逮捕された事例です。
このケースでは、百貨店などに対して虚偽の内容のメールを複数回送信し、店舗側が対応を余儀なくされる状況を生じさせていました。
また、評価サイトに低評価を書き込むなどの行為も行われており、営業に支障が出ていたとされています。
こうした行為により、店舗はクレーム対応などの負担を強いられ、業務が妨害されたのです。結果として、偽計業務妨害に該当するとして刑事責任が問われています。
個人的な感情やトラブルが背景にあったとしても、虚偽の情報を用いて営業に影響を与えれば犯罪です。SNSや口コミサイトでの評価も含め、発信内容には十分に注意しましょう。
デマの拡散が罪にならないケース
すべての情報発信が違法になるわけではありません。内容や目的、根拠の有無によっては、違法と評価されない場合もあります。
デマの拡散が罪にならないと判断されるケースを解説します。
- 真実であると合理的に信じた根拠がある場合
- 公益性があり社会的意義のある発信である場合
- 意見や論評の範囲にとどまる場合
- 違法性が認められるほどの被害が発生していない場合
真実であると合理的に信じた根拠がある場合
発信した内容が結果的に誤りであったとしても、その時点で真実だと合理的に信じるだけの根拠があれば、違法と評価されない場合があります。
重要なのは、どのような情報をもとに判断したかです。
例えば、公的機関の発表や信頼性の高い報道をもとに発信した場合、その情報が後に誤りと判明しても、直ちに責任が問われるとは限りません。
一方で、出所が不明な噂や、信頼性の低い情報をそのまま拡散した場合は、注意義務を怠ったと判断される可能性があります。
つまり、信じていただけでは不十分で、その判断に合理性があるかが問われます。情報の出所や信頼性を確認する姿勢が重要です。
公益性があり社会的意義のある発信である場合
発信内容に公共性や公益性があり、社会的に意義のある情報であれば、違法とならない場合があります。
特に、社会問題の指摘や不正の告発などは、一定の条件を満たせば保護される可能性があります。
例えば、企業の不正行為や違法な実態について、社会に知らせる目的で情報を発信するケースです。
このような場合、単なる中傷ではなく、社会全体の利益に資する内容であるかが重視されます。
ただし、公益性が認められるためには、内容の正確性や発信の目的も重要です。事実に基づかない情報や、単に相手を貶める目的での投稿であれば、違法と判断される可能性があります。
公益性を理由にすれば何でも許されるわけではないことに注意してください。
意見や論評の範囲にとどまる場合
個人の意見や感想の範囲にとどまる表現であれば、直ちに違法とは評価されない場合があります。
名誉毀損罪のように「事実の摘示」が必要なケースでは、単なる評価や論評は区別されます。
例えば、「この店は対応が悪いと感じた」「サービスに満足できなかった」といった主観的な意見は、違法ではありません。事実として断定していないことが重要です。
一方で、意見の形式をとっていても、実質的に事実を断定している場合や、過度に人格を攻撃する内容であれば違法と判断される可能性があります。
表現の仕方によって評価が変わるため注意が必要です。意見と事実の区別を意識し、断定的な表現や根拠のない決めつけは避けましょう。
違法性が認められるほどの被害が発生していない場合
デマの拡散であっても、被害が極めて軽微であり、社会的評価の低下や業務への影響が認められない場合には、直ちに違法とは評価されないことがあります。
例えば、閲覧者がほとんどいない状況での投稿や、内容が抽象的で特定の個人・企業を指していないケースでは、実害が認められにくい傾向にあります。
被害が現実に生じているかどうかは、重要な判断要素です。
ただし、被害が小さいからといって安心はできません。拡散によって影響が広がれば評価は変わりますし、後から問題になる可能性もあります。軽視せず、発信内容には常に注意を払ってください。
デマを拡散されたときの対処法
デマを拡散された場合は、放置すると被害が拡大するおそれがあります。早い段階で適切に対応すれば、影響を抑えられます。
デマを拡散されたときの対処法を確認していきましょう。
- 投稿内容や証拠を保存する
- 投稿者に削除や訂正を求める
- SNS運営やサイト管理者に削除依頼を行う
- 発信者情報開示請求を検討する
- 損害賠償や慰謝料請求を検討する
- 刑事告訴を検討する
投稿内容や証拠を保存する
デマを拡散された場合は、最初に証拠を確実に残してください。投稿は削除されたり、アカウントごと消されたりすることがあり、その後では内容を証明できなくなるおそれがあります。
具体的には、投稿画面のスクリーンショットを保存し、URL・投稿日時・アカウント名をあわせて記録しておきましょう。
1枚だけでなく、投稿全体・プロフィール画面・コメント欄・リツイート数やいいね数など、複数の画面を残すと証拠としての価値が高まります。
動画やストーリー形式の投稿であれば、画面録画で保存しておくと安心です。
また、拡散状況も重要な要素です。どの程度広がっているのか、誰がどのように引用しているのかまで確認し、記録しておくと被害の大きさを示しやすくなります。
証拠が不十分だと、削除依頼や発信者情報開示請求、損害賠償請求などの手続きに支障が出る可能性があります。
投稿者に削除や訂正を求める
証拠を確保した後は、投稿者に対して削除や訂正を求める対応を検討しましょう。早い段階で対応すれば、拡散の拡大を抑えられる可能性があります。
具体的には、SNSのダイレクトメッセージやコメントなどを通じて、投稿の削除や内容の訂正を求めます。
その際は感情的な表現は避け、どの投稿が問題なのか、どのような被害が生じているのかを冷静に伝えることが重要です。
また、削除だけでなく訂正投稿を求めることも有効です。すでに拡散されている場合、削除だけでは誤情報が残り続けるため、正しい情報を発信してもらう必要があります。
ただし、相手が応じない場合や、やり取りがエスカレートするおそれもあります。無理に交渉を続けるのではなく、状況に応じて運営への通報や法的手続きへ進む判断も検討してください。
SNS運営やサイト管理者に削除依頼を行う
投稿者が削除に応じない場合は、SNS運営やサイト管理者への削除依頼を検討してください。多くのプラットフォームには、違法・不適切な投稿を報告する仕組みが用意されています。
具体的には、各サービスの「通報」「報告」機能や専用フォームから申請を行いましょう。
その際は、該当投稿のURLや問題点、虚偽である理由、被害の内容などをできるだけ具体的に記載することが重要です。
証拠として保存したスクリーンショットを添付できる場合は、あわせて提出すると判断がスムーズになります。
また、日本のサイトや掲示板の場合は、プロバイダ責任制限法に基づく削除請求という方法があるため、権利侵害が明らかな場合、運営側が投稿を削除する可能性があります。
ただし、必ずしもすぐに削除されるとは限りません。対応に時間がかかることもあるため、並行して他の手段も検討するとよいでしょう。
発信者情報開示請求を検討する
投稿者が匿名の場合でも、発信者情報開示請求を行えば、一定の条件のもとで相手を特定できる可能性があります。悪質なデマで被害が大きい場合は、有効な手段です。
発信者情報開示請求とは、SNS運営会社やプロバイダに対して、投稿者のIPアドレスや契約者情報の開示を求める手続きです。
これにより、匿名アカウントの背後にいる人物を特定し、損害賠償請求や刑事手続きにつなげることができます。
もっとも、この手続きは誰でも簡単に行えるものではありません。権利侵害の明確性や必要性が求められ、通常は裁判手続きを通じて進めます。
そのため、専門的な知識が必要となるケースが多く、弁護士への相談が現実的です。
また、時間が経過するとログが削除され、特定が難しくなることもあります。被害に気づいた段階で早めに検討し、迅速に動くことが重要です。
損害賠償や慰謝料請求を検討する
デマの拡散によって実際に被害が生じている場合は、損害賠償や慰謝料の請求を検討しましょう。名誉の低下や営業損害などが認められれば、民事上の責任を追及できます。
例えば、売上の減少や取引停止といった経済的損害が発生している場合、その損失分を請求することが可能です。また、精神的苦痛を受けた場合には、慰謝料の対象にもなります。
請求にあたっては、被害の内容や因果関係を示す証拠が重要です。どの投稿によってどのような影響が出たのかを具体的に示す必要があります。
証拠が不十分だと、請求が認められにくくなるため注意が必要です。
相手との交渉が難しい場合や、適切な請求額が分からない場合は、弁護士への相談を検討してください。状況に応じた対応を進めることで、被害の回復につながります。
刑事告訴を検討する
デマの内容が悪質で、名誉毀損や業務妨害などの犯罪に該当する場合は、刑事告訴も選択肢になります。加害者の処罰を求めることで、再発防止や被害拡大の抑止につながります。
刑事告訴とは、被害者が警察や検察に対して処罰を求める手続きです。被害届とは異なり、加害者の処罰意思を明確に示すことが特徴です。
受理されれば、捜査が進み、起訴される可能性もあります。
もっとも、すべてのケースで受理されるわけではありません。証拠の有無や被害の程度、違法性の明確さなどが判断材料になりますので、事前に証拠を十分にそろえておくことが重要です。
手続きに不安がある場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。告訴状の作成や警察への対応をサポートしてもらえます。状況に応じて、民事手続きとあわせて進めることも検討してください。
デマを拡散してしまったときの対処法
誤ってデマを拡散してしまった場合でも、適切に対応すれば被害の拡大や責任の重さを抑えられる可能性があります。
放置すると状況が悪化するおそれがあるため、早めの対応が重要です。デマを拡散してしまったときの対処法を解説します。
- 投稿を削除し拡散を止める
- 事実関係を確認し誤情報であるかを把握する
- 被害者に対して謝罪や訂正を行う
- 早期に弁護士へ相談する
投稿を削除し拡散を止める
デマを拡散してしまった場合は、まず該当する投稿を速やかに削除してください。拡散が続くほど被害が広がるため、初動の対応が重要です。
リツイートやシェアの場合も同様に削除し、元の投稿を削除できなくても自分のアカウントから拡散を止める対応は必要です。
引用投稿やコメント付きの投稿をしている場合は、それらも含めて削除しましょう。
また、削除前にスクリーンショットを残しておくと、後の説明や対応に役立つ場合があります。どのような内容を投稿したのかを把握しておくことも重要です。
削除だけで問題が完全に解決するわけではありませんが、被害拡大を防ぐ第一歩になります。気づいた時点で、できるだけ早く対応してください。
事実関係を確認し誤情報であるかを把握する
投稿を削除した後は、拡散した情報が本当に誤りだったのかを確認してください。事実関係を正しく把握しないまま対応すると、誤った説明や再拡散につながるおそれがあります。
具体的には、公式発表や信頼性の高い報道、当事者の説明などを確認し、情報の正確性を判断します。
情報源が曖昧なまま拡散していた場合は、その時点で問題があるといえるでしょう。
また、どの部分が誤っていたのか、どのような影響を与えたのかも整理しておくと、その後の対応がスムーズになります。
単に間違っていたと認識するだけでなく、どこに問題があったのかまで把握することが重要です。
事実関係を正確に理解しておけば、謝罪や訂正の際にも適切な説明ができます。再発防止のためにも、この確認作業は欠かさないようにしてください。
被害者に対して謝罪や訂正を行う
誤情報を拡散してしまった場合は、被害者に対して謝罪と訂正を行いましょう。対応が遅れるほど不信感が強まり、トラブルが深刻化するおそれがあります。
まず、投稿先で訂正内容を明確に示し、誤った情報を拡散した事実を認めることが重要です。
そのうえで、可能であれば被害者に直接連絡し、謝罪の意思を伝えます。公開の場と個別の対応を併用することで、誠実な姿勢が伝わりやすくなります。
謝罪の際は言い訳を避け、事実と責任を簡潔に示してください。曖昧な表現や責任回避の姿勢は、かえって印象を悪化させる原因になります。
適切な謝罪と訂正は、被害の回復だけでなく、責任追及のリスクを軽減することにもつながります。問題に気づいた時点で、速やかに対応することが重要です。
早期に弁護士へ相談する
デマの拡散によってトラブルが発生している場合は、早い段階で弁護士へ相談してください。自己判断で対応を続けると、状況が悪化するおそれがあります。
例えば、すでに被害者から削除要求や損害賠償請求を受けている場合、対応を誤ると責任が重くなる可能性があります。
弁護士に相談すれば、適切な謝罪方法や対応方針について具体的なアドバイスを受けることが可能です。
また、示談交渉や賠償額の調整、相手とのやり取りも代理で進めてもらえます。感情的な対立を避けながら、冷静に解決を目指せることも大きなメリットです。
問題が大きくなる前に専門家へ相談することで、リスクを最小限に抑えられます。不安がある場合は、早めに相談して対応の方向性を確認しましょう。
デマを拡散しないために注意すべきこと
デマの拡散は、誰でも加害者になり得る問題です。日常的なSNSの使い方を見直すことで、トラブルは防げます。拡散を防ぐために意識したいポイントを解説します。
- 情報を見た直後に拡散しない習慣をつける
- 発信者や情報源の信頼性を確認する
- 感情を煽る内容ほど一度立ち止まって判断する
- 自分の投稿が拡散された場合の影響を考える
- 少しでも不安がある情報は共有しない
情報を見た直後に拡散しない習慣をつける
気になる情報を見つけると、すぐに共有したくなるものです。ただし、その場の勢いで拡散すると、誤情報を広めてしまうリスクが高まります。
まずは一度立ち止まり、内容を冷静に確認する習慣を持ちましょう。
特に、驚きや怒り、不安を煽るような内容は拡散されやすい傾向があります。こうした情報ほど真偽が不確かなケースも多いため、感情に流されないことが重要です。
少し時間を置くだけでも、他の情報源が出てきたり、誤情報であることが判明したりすることがあります。急いで共有する必要があるかを考え、慎重に判断してください。
拡散の前に「この情報は本当に正しいのか」「自分が広める必要があるのか」と問い直すことが、トラブル防止につながります。
発信者や情報源の信頼性を確認する
情報を拡散する前に、発信者や情報源の信頼性を確認してください。誰が発信しているのかを見極めるだけでも、誤情報を避けられます。
例えば、公的機関や公式アカウント、信頼性の高い報道機関による発信であれば、一定の裏付けがあります。一方で、出所が不明な個人アカウントや、根拠が示されていない情報は注意が必要です。
また、情報が一次情報か二次情報かも重要です。元の発表や当事者の発言を確認せず、まとめサイトや切り抜きだけで判断すると、内容が歪められている可能性があります。
発信者の属性や情報の出所を確認するだけでも、誤情報に触れるリスクは下がります。拡散前に一度確認する習慣を身につけてください。
感情を煽る内容ほど一度立ち止まって判断する
「危険」「拡散希望」「今すぐ知らせて」といった表現が含まれている場合、受け手の判断力を鈍らせる意図がある可能性があります。
感情に引きずられたまま拡散すると、結果的にデマを広めてしまうおそれがあります。
一度立ち止まり、情報の出所や根拠を確認してください。冷静な状態で判断することで、誤った拡散を防げます。
感情が動いたときほど慎重になることが重要です。すぐに共有するのではなく、内容を見極める姿勢を意識しましょう。
自分の投稿が拡散された場合の影響を考える
投稿する前に、その情報が拡散された場合の影響を想像してください。一度発信した内容は、自分の手を離れて広がっていきます。
例えば、特定の人物や企業に関する内容であれば、信用低下や営業への影響につながる可能性があります。意図していなくても、結果として誰かを傷つけることも少なくありません。
また、投稿は半永久的に残るケースも多く、削除しても完全に消えるとは限りません。スクリーンショットなどで保存され、後から問題になることもあります。
「この内容が広まっても問題ないか」「誤解を招く表現ではないか」といった視点で見直してください。発信前の一度の確認が、大きなトラブルを防ぎます。
少しでも不安がある情報は共有しない
内容に少しでも不安がある場合は、共有しない判断が重要です。確信が持てない情報を広める行為は、それだけでリスクになります。
「たぶん本当だろう」「みんなが拡散しているから大丈夫」といった判断は危険です。情報の真偽は拡散数では決まりません。誤情報であっても広く拡散されるケースは珍しくありません。
また、一度投稿すれば取り消しは難しくなります。後から削除しても、すでに拡散されていれば影響は残ります。
判断に迷う場合は、拡散しないという選択を取りましょう。発信しないことも重要なリスク管理です。
デマの拡散に関するよくある質問
デマの拡散に関するよくある質問を紹介します。
- ネットで嘘の情報を流すと罪になる?
- フェイクニュースを拡散すると処罰される?
- SNSでの拡散はどこから違法になる?
- 嘘の情報を言いふらすと罪になる?
- デマを流す人にはどのような心理がある?
ネットで嘘の情報を流すと罪になる?
ネットで嘘の情報を流した場合でも、直ちにすべてが犯罪になるわけではありません。
例えば、特定の人物や企業について虚偽の事実を投稿し、社会的評価を低下させた場合は名誉毀損に該当します。
一方で、被害がほとんど生じていない場合や、意見・感想の範囲にとどまる場合などは、直ちに違法とはいえません。
重要なのは、「嘘かどうか」だけでなく、その内容によって誰にどのような影響が生じるかです。
フェイクニュースを拡散すると処罰される?
虚偽であると認識しながら拡散した場合や、明らかに不自然な内容であるにもかかわらず確認せずに広めた場合は、過失や故意が認められる可能性があります。
一方で、信頼できる情報源をもとに発信していた場合や、誤りであると気づくのが困難だった場合は、直ちに責任が問われないことはありません。
内容や拡散の仕方によっては違法かどうかは異なりますので、慎重な判断が求められます。
SNSでの拡散はどこから違法になる?
SNSでの拡散が違法になるかどうかは、「内容」「認識」「影響」の3つで判断されます。
まず、内容が虚偽であり、他人の名誉や信用を傷つけるものである場合は違法です。
さらに、その情報が誤りであると認識していた、または容易に気づけた状況で拡散した場合は、責任が認められやすくなります。
また、拡散によって実際に被害が発生しているかどうかも重要です。閲覧数が多く、影響が広がっている場合は違法性が認められやすくなります。
一方で、信頼性のある情報をもとにしていた場合や、被害がほとんど発生していない場合などは、直ちに違法と判断されません。
嘘の情報を言いふらすと罪になる?
嘘の情報を言いふらした場合に成立する可能性があるのは、名誉毀損罪や侮辱罪、信用毀損罪・偽計業務妨害罪などです。
例えば、特定の人物について虚偽の不正行為を広めた場合は名誉毀損に該当します。
企業に関するデマを流し、売上減少や取引停止などの影響が出た場合は、信用毀損罪や業務妨害罪です。
一方で、被害がほとんど生じていない場合や、意見や感想の範囲にとどまる表現であれば、直ちに違法と評価されないケースもあります。
真実であると合理的に信じた根拠がある場合も同様です。
デマを流す人にはどのような心理がある?
悪意があるケースだけでなく、無意識のうちに拡散してしまう場合も少なくありません。
例えば、「多くの人に注目されたい」という承認欲求から、話題性の高い情報を拡散するケースがあります。
また、「誰かに知らせなければ」という善意が動機となり、真偽を確認せずに共有してしまう場合もあります。
さらに、不安や怒りといった感情が強いと、冷静な判断ができなくなり、情報の正確性を十分に確認しないまま拡散してしまう人も少なくありません。
特に災害時や社会不安が高まっている場面では、このような行動が起こりやすくなります。
まとめ
デマの拡散は、内容や影響によっては名誉毀損罪や業務妨害罪などの犯罪に該当し、損害賠償責任が生じる可能性もあります。
発信者だけでなく、リツイートやシェアによる拡散も責任を問われる場合があるため注意が必要です。
一方で、すべての発信が違法になるわけではありません。真実と信じる合理的な根拠がある場合や、意見・論評の範囲にとどまる場合などは、違法と評価されないケースもあります。
デマを拡散された場合は、証拠の保存や削除依頼、必要に応じて法的手続きを検討してください。反対に、誤って拡散してしまった場合は、速やかに削除し、訂正や謝罪を行うことが重要です。
SNSは便利な反面、一度の投稿が大きなトラブルにつながることもあります。発信前に情報の真偽や影響を確認し、慎重に行動しましょう。