根も葉もない嘘を言いふらされ、自分の居場所がなくなったり、強い精神的苦痛を受けたりするケースは少なくありません。虚偽の情報が広まると、社会的評価や信用が大きく傷つきます。
このような行為は、名誉毀損罪や侮辱罪などに該当します。また、刑事責任とは別に、民事上の損害賠償を請求することが可能です。
もっとも、すべての噂や発言が直ちに犯罪になるわけではありません。成立要件を満たしているかどうかの見極めが重要です。
本記事では、嘘を言いふらす行為がどのような罪にあたるのか、刑事告訴と民事請求の違いや具体的な手続きの流れをわかりやすく解説します。
・嘘を言いふらす行為は、名誉毀損罪、侮辱罪、信用毀損罪、業務妨害罪などの罪に問われる可能性がある
・嘘を言いふらすと罪になるかの判断基準は、不特定または多数の人に伝わっているか、具体的な事実を述べているか、社会的評価を下げる内容かなど
・嘘を言いふらされたときに弁護士へ相談するメリットは、証拠の整理や保全を適切に行える、適切な慰謝料額を算定できる、交渉や手続きを任せられるなど
目次
嘘を言いふらす行為は何罪になる?
嘘を言いふらす行為は、内容や状況によっては犯罪にあたります。嘘を言いふらす行為がどのような罪にあたるのかを紹介します。
- 嘘そのものを直接罰する法律はない
- 名誉毀損罪にあたる可能性がある
- 侮辱罪にあたる可能性がある
- 信用毀損罪にあたる可能性がある
- 業務妨害罪にあたる可能性がある
- 民事上の不法行為になる可能性がある
嘘そのものを直接罰する法律はない
法律上、「嘘をついた」という理由だけで直ちに処罰されることはありません。事実と異なる発言をしただけでは、犯罪は成立しません。
問題になるのは、その嘘によって誰かの名誉や信用が傷ついた場合です。内容や広がり方によっては、名誉毀損罪や侮辱罪などに該当します。
つまり、処罰の対象になるのは「嘘」という行為そのものではなく、嘘によって生じた法的な侵害です。ここを区別して理解することが重要です。
名誉毀損罪にあたる可能性がある
嘘を言いふらし、相手の社会的評価を低下させた場合は、名誉毀損罪(刑法230条)が成立します。
| 罪名 | 名誉毀損罪 |
|---|---|
| 刑法 | 刑法230条 |
| 法定刑 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 代表例 | ・「あの人は横領している」と事実のように言いふらす ・「不倫している」と虚偽の情報をSNSで拡散する ・「前科がある」と根拠なく周囲に伝える |
ここで重要なのは、「不特定または多数の人」に対して「具体的な事実」を示していることです。
単なる悪口ではなく、「横領している」「詐欺をした」など、事実のように断定して広めた場合に問題になります。
内容が虚偽であれば違法性は否定されません。実際にその事実が存在しなくても、周囲が真実だと受け取れば名誉は傷つきます。
SNSや掲示板、口コミサイトへの投稿も対象です。フォロワーが少なくても、不特定の人が閲覧できる状態であれば成立します。
インターネット上の発信だからといって責任が軽くなるわけではありません。
侮辱罪にあたる可能性がある
具体的な事実を示さなくても、公然と人を侮辱した場合は侮辱罪(刑法231条)が成立します。
| 罪名 | 侮辱罪 |
|---|---|
| 刑法 | 刑法231条 |
| 法定刑 | 1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料 |
| 代表例 | ・「最低な人間だ」とSNSで繰り返し投稿する ・掲示板で実名を出して「無能」「詐欺師みたいな顔」と書く ・職場のグループチャットで「存在が迷惑だ」と拡散する |
名誉毀損罪との違いは、「事実の摘示」があるかどうかです。
たとえば、「犯罪者だ」といった断定的な表現は名誉毀損になりますが、「バカ」「クズ」など抽象的な悪口は侮辱罪の問題になります。
内容が嘘かどうかよりも、公然と人の名誉感情を害したかがポイントです。
SNSや掲示板での投稿も対象です。不特定多数が閲覧できる状態であれば成立します。侮辱罪は、具体的な事実を示していなくても成立します。
信用毀損罪にあたる可能性がある
嘘を言いふらし、個人や会社の経済的信用を傷つけた場合は、信用毀損罪(刑法233条)が成立します。
名誉毀損罪が「社会的評価」を守る犯罪であるのに対し、信用毀損罪は「経済的信用」を守る犯罪です。虚偽の情報を流して取引先や顧客の信頼を失わせた場合に問題になります。
たとえば、「あの店は食中毒を隠している」「あの会社は倒産寸前だ」などと根拠なく広める行為です。売上や取引に影響が出れば、刑事責任を問われます。
| 罪名 | 信用毀損罪 |
|---|---|
| 刑法 | 刑法233条 |
| 法定刑 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 代表例 | ・「この会社は粉飾決算をしている」と虚偽の情報を拡散する ・「あの店の食品は危険だ」と根拠なくSNSに投稿する ・「取引先に未払いを繰り返している」と事実無根の噂を流す |
経済的信用を傷つける嘘は、個人だけでなく法人に対しても成立します。影響が大きければ、刑事事件として厳しく扱われるでしょう。
業務妨害罪にあたる可能性がある
嘘を言いふらした結果、会社や店舗などの業務を妨害した場合は、業務妨害罪(刑法233条・234条)が成立します。
虚偽の情報を流して来店客が減少したり、問い合わせが殺到して業務が混乱したりすれば、業務への支障が生じます。
このような場合は、信用毀損罪とあわせて成立することも少なくありません。
特にインターネット上でのデマ投稿は拡散力が高く、実際に営業停止やイベント中止に追い込まれるケースもあります。
| 罪名 | 信用毀損罪 |
|---|---|
| 刑法 | 刑法233条 |
| 法定刑 | 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| 代表例 | ・「この会社は粉飾決算をしている」と虚偽の情報を拡散する ・「あの店の食品は危険だ」と根拠なくSNSに投稿する ・「取引先に未払いを繰り返している」と事実無根の噂を流す |
業務妨害罪は、実際に業務へ影響が出たかどうかが重要です。単なる悪口ではなく、具体的な支障が生じた場合に成立します。
民事上の不法行為になる可能性がある
嘘を言いふらす行為は、刑事責任とは別に、民事上の不法行為(民法709条)にもあたります。
不法行為が成立すれば、加害者に対して損害賠償を請求できます。対象となるのは、精神的苦痛に対する慰謝料だけではありません。
仕事を失った場合の逸失利益や、謝罪広告費用なども含まれます。
刑事事件として立件されなくても、民事上の責任が認められることは珍しくありません。刑事と民事は別の制度です。
処罰を求めるのか、金銭的な回復を求めるのかで、取るべき対応は変わります。
嘘を言いふらすと罪になるかの判断基準
嘘を言いふらしたすべてのケースが犯罪になるわけではありません。成立するかどうかは、法律上の要件を満たしているかで判断されます。
罪にあたるかどうかを判断するための具体的な基準を確認します。
- 不特定または多数の人に伝わっているか
- 具体的な事実を述べているか
- 社会的評価を下げる内容か
- 誰のことか特定できるか
- 真実でも違法になる場合がある
不特定または多数の人に伝わっているか
名誉毀損や侮辱罪が成立するためには、「公然性」が必要です。これは、不特定または多数の人が認識できる状態にあることを意味します。
たとえば、SNSや掲示板への投稿は、閲覧できる人が限定されていなければ公然性が認められます。フォロワーが少なくても、不特定の人が閲覧できる設定であれば成立します。
一方で、完全に1対1のメッセージで、第三者が知り得ない状態であれば、公然性は認められません。この場合は名誉毀損罪は成立しません。
まず確認すべきなのは、どの範囲に情報が広がったかです。公然性がなければ、刑事責任は問われません。
具体的な事実を述べているか
名誉毀損罪が成立するには、「具体的な事実」を示すことが必要です。
たとえば、「横領している」「不倫している」「前科がある」など、客観的に真偽を判断できる内容は事実の摘示にあたります。
実際にその事実が存在しなくても、事実のように広めれば成立します。
一方で、「最低な人間だ」「信用できない」などの抽象的な評価や感想は、事実の摘示とはいえません。この場合は、侮辱罪の問題になります。
まずは、その発言が具体的な事実を示しているのか、それとも単なる意見や悪口なのかを区別することが重要です。
社会的評価を下げる内容か
犯罪が成立するためには、その発言が相手の社会的評価を下げる内容であることが必要です。
社会的評価とは、周囲からどのような人物・企業として見られているかという評価を指します。たとえば、「犯罪をした」「不正をしている」などの発言は、社会的評価を大きく下げます。
一方で、単なる好き嫌いや主観的な感想だけでは、社会的評価を低下させたとはいえません。発言がどの程度、客観的に評価を下げるかが判断のポイントです。
問題になるのは、発言によって周囲の見方が変わるかどうかです。評価の低下が認められなければ、名誉毀損は成立しません。
誰のことか特定できるか
名誉毀損や侮辱罪が成立するには、「誰のことを指しているのか」が特定できる必要があります。
実名を出していなくても、勤務先や肩書き、具体的な出来事などから第三者が特定できる場合は成立します。
「〇〇会社の営業部長」「先日の事故を起こした運転手」など、周囲が誰か分かる状態であれば十分です。
一方で、まったく特定できない抽象的な発言であれば、特定性は認められません。「ある会社の人が悪いことをしている」といった曖昧な表現では、通常は成立しません。
ポイントは、一般の人が読んで特定の人物や法人を想起できるかどうかです。特定性がなければ、名誉毀損は成立しません。
真実でも違法になる場合がある
発言が真実であっても、必ずしも許されるとは限りません。
名誉毀損では、たとえ事実であっても、社会的評価を下げる内容を公然と広めれば成立します。
もっとも、公共の利害に関する事実であり、公益目的で行われ、かつ真実であることが証明できれば処罰されません(刑法230条の2)。
たとえば、公的立場にある人物の不正を社会に知らせる目的で発信した場合です。一方で、私生活上の事実を興味本位で拡散する行為は、真実であっても違法になります。
「本当のことだから問題ない」という考えは危険です。公共性や公益目的がなければ、真実でも違法になることがあります。
嘘を言いふらして罪に問われた実際の事例
嘘を言いふらす行為は抽象的な問題ではなく、実際に刑事責任を問われ、有罪判決が言い渡された事例もあります。
実際に名誉毀損などで有罪となった事例を紹介します。どのような行為が問題になったのかを具体的に確認していきましょう。
- 性被害の虚偽告発が名誉毀損などで有罪となった事例
- SNSで虚偽情報を発信し名誉毀損で起訴された事例
- 交通事故をめぐるデマ投稿が名誉毀損で処罰された事例
性被害の虚偽告発が名誉毀損などで有罪となった事例
ある自治体の首長に対し、性被害を受けたと虚偽の告発を行い、その内容を電子書籍などで広く発信した元町議が、名誉毀損罪および虚偽告訴罪で有罪となった事例です。
発信内容は国内外で大きく拡散し、自治体や関係者に深刻な影響を与えました。
【事件の概要】
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【事件の結果】
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この事例では、単なる噂の拡散ではなく、刑事告訴まで行ったことが重く評価されました。虚偽の内容を「被害告発」という形で広めれば、社会的影響は極めて大きくなります。
SNSで虚偽情報を発信し名誉毀損で起訴された事例
ある政治家が、県議に関して「内部告発者の死亡原因を隠蔽している」といった趣旨の内容をSNSに投稿し、名誉毀損容疑で刑事告訴された事例です。
選挙期間中の発言や行動もあわせて問題となり、脅迫や業務妨害の疑いも指摘されました。
【事件の概要】
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【事件の結果】
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この事例では、名誉毀損として告訴されたものの、証拠や発言内容の評価により不起訴となりました。危害を加える旨の明確な発言があったかどうかが一つの判断材料とみられています。
交通事故をめぐるデマ投稿が名誉毀損で処罰された事例
高速道路で発生したあおり運転事故をめぐり、加害者と無関係の会社が「勤務先である」とする虚偽情報を拡散された事例です。
インターネット上の書き込みにより、会社と代表者は深刻な被害を受けました。
【事件の概要】
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【事件の結果】
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この事例では、事故とは無関係の企業がデマの標的になりました。虚偽の情報が短時間で拡散し、営業停止や精神的苦痛といった具体的な被害が発生しています。
インターネット上の転載やリツイートであっても責任を免れません。軽い気持ちで情報を広めた結果、民事上の賠償責任や刑事手続きに発展することもあります。
嘘を言いふらされた場合の対処法は刑事告訴と民事請求の2つ
嘘を言いふらされた場合の対処法は、大きく分けて「刑事告訴」と「民事請求」の2つです。どちらを選ぶかによって、目的や手続きの進み方が異なります。
それぞれの手続きの位置づけと違いを確認します。自分が何を求めたいのかを意識しながら読み進めてください。
- 刑事告訴は処罰を求める手続き
- 民事請求は慰謝料を求める手続き
- 刑事と民事は同時に進められる
刑事告訴は処罰を求める手続き
刑事告訴は、加害者に対して刑事責任を問うための手続きです。目的は、慰謝料を得ることではなく、処罰を求めることにあります。
名誉毀損罪や侮辱罪は親告罪です。被害者が告訴しなければ、原則として起訴されません。そのため、処罰を望む場合は告訴が重要になります。
もっとも、告訴したから必ず起訴されるわけではありません。捜査の結果、証拠が不十分であれば不起訴となります。
処罰を通じて責任を明確にしたい場合は、刑事告訴を検討します。
民事請求は慰謝料を求める手続き
民事請求は、被害によって生じた損害の回復を目的とする手続きです。中心となるのは、精神的苦痛に対する慰謝料の請求です。
嘘を言いふらされたことで仕事を失った場合や、取引が中止になった場合は、逸失利益を請求できます。投稿の削除や謝罪文の掲載を求めることも可能です。
刑事告訴とは異なり、処罰ではなく金銭的な回復や名誉の回復を目指します。
加害者が不起訴になっても、民事上の責任が否定されるわけではありません。実際には、示談交渉で解決するケースも多くあります。
刑事と民事は同時に進められる
刑事告訴と民事請求は、どちらか一方しか選べないわけではありません。目的が異なるため、同時に進めることが可能です。並行して進めることで、責任の追及と損害回復の両方を図れます。
実務では、刑事事件が進行する中で示談交渉が行われることも少なくありません。加害者が処罰を避けるために和解に応じるケースもあります。
どの手続きを選ぶかは、何を重視するかで変わります。処罰なのか、金銭的回復なのか、目的を明確にすることが重要です。
嘘を言いふらされた場合に刑事告訴する流れ
刑事告訴を行う場合、いきなり警察に行けばよいわけではありません。事前の準備が重要です。
嘘を言いふらされた場合に刑事告訴を進める一般的な流れを紹介します。
- 証拠を確保する
- 加害者を特定する
- 告訴状を作成する
- 警察に提出し受理を求める
- 捜査・起訴の判断が行われる
証拠を確保する
刑事告訴を検討する場合、まず行うべきなのは証拠の確保です。証拠がなければ、捜査は進みません。
SNSや掲示板の投稿は、削除される前に保存します。スクリーンショットだけでなく、URLや投稿日時、アカウント名も記録しておくことが重要です。
可能であれば、画面録画やウェブ魚拓なども活用します。
口頭で広められている場合は、発言内容や日時、場所、聞いていた人の氏名をメモに残します。証言してくれる第三者がいるかどうかも確認してください。
感情的になって投稿に反論する前に、まず証拠を押さえることが優先です。
加害者を特定する
刑事告訴を進めるには、加害者の特定が必要です。実名が分かっていれば手続きは進めやすくなります。
問題となるのは、匿名アカウントから投稿されている場合です。この場合、プロバイダに対する発信者情報開示請求などの手続きを行い、投稿者を特定します。
警察が捜査の中で特定を進めることもありますが、民事手続きと並行して進めるケースもあります。匿名だからといって責任を免れられるわけではありません。
告訴状を作成する
加害者や事実関係をまとめたら、告訴状を作成します。告訴状は、処罰を求める意思を正式に示す重要な書面です。
記載すべき内容は、発言の具体的な内容、日時や場所、どのように拡散したか、どのような被害が生じたかなどです。抽象的な主張ではなく、客観的な事実を時系列でまとめます。
証拠との対応関係も明確にします。どの投稿が問題なのか、どの証拠がそれを裏付けるのかを整理しておくことが重要です。
告訴状は形式が整っていなければ受理されません。提出前に内容を確認し、不足がないか点検してください。
警察に提出し受理を求める
告訴状が完成したら、管轄の警察署に提出します。原則として、被害が発生した場所や加害者の所在地を管轄する警察署が窓口です。
提出すれば自動的に受理されるわけではありません。警察は、犯罪の成立要件を満たしているかを確認します。不足があれば補足説明や追加資料が必要です。
重要なのは、「処罰を求める意思」を明確に伝えることです。単なる相談ではなく、告訴であることをはっきり示す必要があります。
受理されれば、警察には捜査義務が生じます。ここが手続き上の大きな分かれ目です。
捜査・起訴の判断が行われる
告訴が受理されると、警察による捜査が始まります。関係者の事情聴取や証拠の確認が行われ、事件は検察に送致されます。
その後、証拠が十分であれば起訴され、刑事裁判に進み、不十分であれば不起訴になるといった流れです。
なお、被害者が告訴を取り下げた場合は、起訴はできません。示談が成立したときは、この点も重要になります。
告訴をしたからといって必ず有罪になるわけではありません。最終的な結論は、証拠と検察の判断によって決まります。
嘘を言いふらされた場合に慰謝料を請求する流れ
嘘を言いふらされて損害が生じた場合は、民事上の責任を追及できます。慰謝料請求を進める一般的な流れを紹介します。
- 被害内容と損害額を整理する
- 投稿者を特定するための手続きを行う
- 慰謝料を請求する意思を正式に伝える
- 示談交渉または和解を目指す
- 解決しない場合は訴訟を提起する
被害内容と損害額を整理する
慰謝料を請求する前に、まず被害の内容を具体的に整理します。どの発言によって、どのような不利益が生じたのかを明確にすることが重要です。
精神的苦痛だけでなく、退職に追い込まれた、取引が中止になったなどの経済的損害があれば、それもまとめておきましょう。
診断書や減収を示す資料があれば有力な証拠になります。
投稿者を特定するための手続きを行う
匿名で嘘を言いふらされている場合は、まず投稿者を特定する必要があります。相手が分からなければ、慰謝料請求は進みません。
インターネット上の投稿であれば、プロバイダに対する発信者情報開示請求を行います。IPアドレスの開示を受け、その後、契約者情報の開示を求める流れです。
時間が経つとログが消えることがありますので、証拠保全の観点からも、早めの対応が重要です。
慰謝料を請求する意思を正式に伝える
投稿者が特定できたら、次は慰謝料を請求する意思を正式に伝えます。いきなり訴訟を起こすのではなく、まずは書面で請求するのが一般的です。
内容証明郵便を利用すれば、いつ、どのような内容を通知したかを証明できます。請求額や支払期限、謝罪の有無などを明確に記載します。
感情的な文章ではなく、事実と法的根拠を示すことが重要です。支払いや謝罪に応じれば、示談で解決します。
示談交渉または和解を目指す
慰謝料の請求を伝えた後は、示談交渉に入ります。ここで合意できれば、裁判をせずに解決です。
示談では、慰謝料の金額、支払方法、謝罪文の有無、再発防止の約束などを取り決めます。口約束だけでは後にトラブルになりますので、合意内容は必ず書面に残すことが大切です。
加害者が任意に応じない場合は、調停や訴訟を検討しましょう。感情的な対立になりやすい場面だからこそ、冷静な対応が求められます。
示談は早期解決の有効な手段ですが、納得できない条件であれば無理に応じる必要はありません。条件を十分に検討したうえで判断しましょう。
解決しない場合は訴訟を提起する
示談交渉で合意に至らなければ、最終的には訴訟を提起します。話し合いでまとまらない以上、裁判所の判断に委ねるしかありません。
訴訟では、嘘の内容、拡散の範囲、被害の大きさなどが審理の対象です。慰謝料の相場も、判例や具体的事情を踏まえて判断されます。
もっとも、訴訟には時間と費用がかかりますので、解決まで半年以上かかることも珍しくありません。
それでも、責任を明確にしたい、適正な賠償を求めたいという場合は有効な手段です。感情だけで決めるのではなく、メリットと負担を比較したうえで選択することが重要です。
嘘を言いふらされたときに弁護士へ相談するメリット
嘘を言いふらされた場合、自分で対応することも可能です。ただ、法的にどの罪にあたるのか、どこまで請求できるのかを正確に判断するのは簡単ではありません。
弁護士に相談することで得られる具体的なメリットを確認します。状況に応じて専門家の力を借りるかどうかを検討してください。
- 法的に罪にあたるかどうかを判断してもらえる
- 証拠の整理や保全を適切に行える
- 適切な慰謝料額を算定できる
- 交渉や手続きを任せられる
- 投稿者が特定できない場合にも対応できる
法的に罪にあたるかどうかを判断してもらえる
嘘を言いふらされたとき、まず迷うのは「これが本当に犯罪になるのか」ということです。感情的には許せない内容でも、法律上の要件を満たしていなければ刑事責任は問えません。
弁護士に相談すれば、名誉毀損や侮辱罪、信用毀損罪などの罪に当たるのか判断してもらえます。
どの罪名が想定されるのか、刑事と民事のどちらを優先すべきかも含めて助言を受けられることがメリットです。
また、違法性が否定される可能性がないかも検討してもらえます。真実性や公益目的が争点になる場合、自分で判断するのは難しいものです。
法的評価を誤ると、時間や費用を無駄になることもありますので、早い段階で見通しを示してもらうことで、適切な方針を選択できます。
証拠の整理や保全を適切に行える
嘘を言いふらされた場合、何より重要なのは証拠です。ところが、どの証拠が有効で、どのように保存すべきかは意外と分かりにくいものです。
弁護士に相談すれば、必要な証拠の種類や優先順位を整理してもらえます。スクリーンショットの取り方や保存方法、削除前に行うべき対応なども具体的に助言を受けられます。
インターネット上の投稿は、時間が経つとログが消えることがありますので、保全手続きが必要かどうかの専門的な判断が必要です。
証拠が不十分であれば、刑事告訴も民事請求も前に進みません。初動を誤らないためにも、早い段階で専門家の助言を受けておくと良いでしょう。
適切な慰謝料額を算定できる
嘘を言いふらされた場合、いくら請求すべきかで悩む人は少なくありません。高すぎても現実的ではありませんし、低すぎれば十分な回復につながりません。
弁護士に相談すれば、過去の裁判例や事案の内容を踏まえ、妥当な慰謝料額を示してもらえます。拡散の規模や悪質性、被害の大きさなどを総合的に評価したうえで算定します。
精神的苦痛だけでなく、退職や取引停止などの経済的損害があれば、それも踏まえて請求額を決めなければなりません。どこまで主張できるのかを判断してもらえることは大きなメリットです。
感情だけで金額を決めるのではなく、根拠のある請求を行うことが重要です。適正な金額を把握しておけば、交渉でも有利に進められます。
交渉や手続きを任せられる
嘘を言いふらされた直後は、冷静でいること自体が難しいものです。その状態で加害者と交渉するのは、大きな負担になります。
弁護士に依頼すれば、内容証明の送付や示談交渉、訴訟対応まで一任できますので、相手方と直接やり取りをする必要がありません。
加害者側が弁護士を立てている場合でも、対等に法的主張を行えます。専門用語や法的論点で圧倒される心配はありません。
投稿者が特定できない場合にも対応できる
匿名で嘘を言いふらされている場合、「相手が分からないから何もできない」と思い込んでしまう人は少なくありません。しかし、法的な手続きを踏めば、投稿者を特定できる可能性はあります。
弁護士に相談すれば、発信者情報開示請求の要否や進め方を具体的にアドバイスしてもらえます。
どの段階でどの資料が必要になるのか、裁判手続きを利用すべきかなど、状況に応じて適切に判断してもらえることがメリットです。
特定までに複数の手続きが必要になることもありますが、専門家が関与すれば流れを整理したうえで進められます。
匿名だからといって責任が曖昧になるわけではありません。適切な手段を取れば、投稿者に対して法的責任を追及できます。
まとめ
嘘を言いふらす行為は、内容や拡散の状況によって名誉毀損罪や侮辱罪、信用毀損罪、業務妨害罪などにあたります。
刑事責任が問われるだけでなく、民事上の不法行為として慰謝料を請求することも可能です。
被害を受けた場合は、まず証拠を確保し、拡散状況や損害内容を整理することが出発点です。
そのうえで、処罰を求めるのか、慰謝料による回復を目指すのか、目的に応じて刑事告訴や民事請求を選択しましょう。
適切な対応を取るためにも、早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。専門家の助言を受けることで、見通しを持って行動できます。